電動パワーステアリング(EPS)の設計と評価

スコープコーダ DL950

概要

電動パワーステアリング(Electric Power Steering : EPS)は、油圧ではなく電気モーターを利⽤して⾃動⾞ステアリングのアシストを行う技術です。

⾞両全体の電⼦制御化の進展に合わせて EPS の導⼊が進み、油圧式と比較して軽量化が実現できることで燃費が向上すること、車速ごとに操舵力を変えるなど制御の⾃由度も⾼くなることなどのメリットがあります。

EPS に加えてブレーキやスロットルを協調制御して⾞両安定性を向上させたり、インテリジェントパーキングアシスト(IPA)と協調動作させて、縦列駐⾞や⾞庫⼊れをサポートするなど、開発が進む”⾃動運転“にも⼤きく関連、寄与する技術です。

EPSを使ったステアリングのサブシステムを評価するには、操舵角や様々なセンサー出力、ECU の入出力などを連続して統合的に記録し、分析する必要があります。

スコープコーダ DL950 は、EPS の設計と評価を行うエンジニアが必要な計測機能を一台で提供します。

ポイント

ステアリングホイールの操作(操舵)で発⽣する⼒(トルク)が、トーションバーやラック&ピニオンギアに伝達されます。これらの⼒はトルクセンサーにより検出されて ECU に伝達されます。ECU はトルクと⾞速に応じた電流(パワーアシスト量)をアシストモーターへ印加します。

EPSシステムの開発と評価には、多くのセンサー(⾞速、トルク、ねじれ、ラック軸⼒、バッテリ電源等)信号(多くの場合はアンプを介して電圧出⼒)、三相モーター電流・電圧・回転量に加え、ECUにより算出されるパワーアシスト量(CAN 通信データ)など、⾮常に多くの信号をモニター・記録する必要があります。更に、10 20 分程度の連続記録が必要なため、ロングメモリーも必要になります。

DL950 は、電圧・電流、CAN 通信データを多チャネルかつ⻑時間記録し、リアルタイム演算機能でトルクや操舵角を算出、同時表示できます。また、エンコーダ出力からアシストモーター回転⾓度を算出したり、振動・音なども同時記録出来るので、EPS システムを統合的に評価できます。

EPSシステムの開発と評価

特長

n多チャネル同時計測

本体に、200 MS/s 10 MS/s の絶縁モジュールを最大 8 枚実装でき、電圧・電流を最大 32 チャネル同時記録が可能。

また、最大 5 台の DL950 を連結して最大 160 チャネル 10 MS/s の同時記録が可能。

n車載シリアルバスモニター

各種センサーや ECU 間のCAN /CAN FD /LIN /SENT の車載シリアルバスのデータをトレンド表示可能。データ上の車速や温度、振動、モーター回転数などを同時記録可能。

nRAM 値との同期計測

IS8000 統合計測ソフトウェアを利用すれば、DTSインサイト社製の RAMScope で取得した制御データとDL950 で計測した各種の波形データを同時表示でき、制御の応答性や妥当性を検証することが可能。

nリアルタイム演算(/G03/G05 オプション)

トルクセンサーや操舵角検出用のエンコーダやレゾルバからの信号から、トルクや操舵角をリアルタイムに演算、測定値と同時に表示可能。演算結果を使ってトリガをかけることも可能。

/G05 オプションには /G03 の機能が含まれます

n大容量メモリー&ストレージ
8 G ポイント 大容量メモリー(/M2 オプション)

最高 200 MS/s で最大 20 秒間の連続記録

512 GB 内蔵 SSD/ST1 オプション)

最高 2 MS/s で最大 5 時間の連続記録

フラッシュアクイジション(/ST2 オプション)

最高 20 MS/s で最大 10 分間の連続記録

nマルチサンプル

チャネルごとに異なるサンプルレートを設定でき、記録データ量を小さくすることが可能。

マルチサンプル

nPCへのストリーミング

IS8000 統合計測ソフトウェアを使い、10 Gbps イーサネット(/C60 オプション)なら最高 20 MS/s (8 ch) PC へストリーミングが可能。

nメモリーレコーダモードとスコープモード

レコーダのようにサンプリング間隔と記録時間を設定して長時間記録を行うメモリーレコーダモードと、オシロスコープようにトリガで波形を記録するスコープモードを搭載。

新モジュール

高速200MS/s 14ビット 絶縁モジュール 720212

入力CH数:2

最高サンプルレート:200MS/s

周波数帯域:DC40MHz

最大入力電圧:1000V(DC+ACpeak)*

A/D変換分解能:14ビット

* 10:1または100:1プローブ使用

高速200MS/s 14ビット 絶縁モジュール 720212

4CH 10MS/s 16ビット 絶縁モジュール 720256

入力CH数:4

最高サンプルレート:10MS/s

周波数帯域:DC3MHz

最大入力電圧:600V(DC+ACpeak)*

A/D変換分解能:16ビット

* 10:1または100:1プローブ使用

4CH 10MS/s 16ビット 絶縁モジュール 720256

 

関連業種

関連製品とソリューション

スコープコーダ DL950

DL950は、DL850E/EVの機能・仕様を大幅に改善し、タッチパネルによる直観的操作を可能した新時代のスコープコーダです。
200MS/s高速サンプルレート、最大8Gポイントメモリー、複数台同期で最大160CHが可能で、お客様の様々なニーズにお応えします。

脱炭素

炭素排出量削減に貢献
いま世界は急速な変化にさらされており、エネルギー問題もその一つです。たとえば、自動車などの移動手段は、炭素排出量の削減のため今後より一層化石燃料からの脱却が進み、再生可能エネルギーにシフトしていきます。
よりクリーンでより環境に優しい世界へ。YOKOGAWAは持続可能なエネルギー供給の実現に向けて、高精度計測で貢献しています。

オシロスコープ|波形測定器

オシロスコープは、高速な電気信号を波形として表示するエレクトロニクス技術者必須の測定器です。
ユニークな縦型コンパクトモデルや多チャネルモデルのオシロスコープに加え、オシロスコープとデータロガーの機能を兼ね備えたスコープコーダなど、特長ある製品ラインアップをご用意しています。
また、様々な測定に対応する電圧プローブ、電流プローブ、ロジックプローブを取りそろえ、数々の先進機能を搭載し、日々の測定業務を強力に支援します。

データロガー|データ収集(DAQ)

高速捕捉・高速転送・高速保存を追求し、ハイパフォーマンスを実現した 高速データロガー、高速データ収集装置です。測定対象に応じたプラグインモジュールを選択、組み替えることで、インバータや電源などに代表されるフローティング電圧測定のほか、各種センサーを直接接続でき、1台で様々な物理量を測定することが可能です。

高速データロガー|スコープコーダ

スコープコーダは、オシロスコープの使い易さと多チャネルデータ収集するデータロガーを融合した統合型計測器です。
スコープコーダ一台で、信号を同時にデータ収録し、オシロスコープと同様のトリガ機能を揃え、データ表示、分析ができ、様々な用途にお使いいただけます。

Precision Making

トップ