ディジタルパワーメーター WT300E

地球環境保護を背景として、再生可能エネルギーの活用ならびに電気エネルギーの有効利用に関する技術開発が盛んに行われています。 太陽光・風力等のエネルギー活用は年々広がりを見せており、産業分野、民生分野においては、モーターのさらなる高効率化や、機器の動作時ならびに待機時消費電力の一層の削減などへ向けた取り組みが推し進められています。 このような市場の動きに伴って電力測定に対する要求も多様化が進み、交流から直流まで、刻々と変動する電力を高い精度で測定、解析する能力が求められています。

ディジタルパワーメーターWT300Eシリーズは、コンパクトなサイズに高い測定精度と多彩な機能を搭載した電力測定器です。 歴代の製品からの使い易さと、上位機種からの高度なデータ収集能力を引き継いでおり、生産、評価・試験から研究開発までの幅広い用途にお使いいただけます。

【WT310E/WT310EH】
WT210と比べて、エネルギー、CO2、NOx、SOxを、それぞれ20%、18%、22%、11%削減

【WT332E/WT333E】
WT230と比べて、エネルギー、CO2、NOx、SOxを、それぞれ41%、38%、43%、30%削減
ライフサイクルアセスメント結果

デモのご依頼

実績

YOKOGAWAは、約100年間にわたる歩みの中で、時代のニーズに応える高精度な電力測定器群を開発し、常に業界をリードしてきました。

信頼性

クラスを超えた高い品質と安定した測定性能により、世界中のお客様から信頼をいただいています。

ハイパフォーマンス

ベーシックモデルながら上位機種に匹敵する高精度測定能力と多彩な機能を搭載しており、幅広い用途にお使いいただけます。

主な特長

  • 電力基本確度の向上:±0.15%
  • 測定帯域の拡大:DC、0.1Hz~100kHz
  • 通信機能の充実:Modbus/TCP通信対応
  • 最大表示範囲の拡大(280%、CF=6A)
  • 入力周波数に追従した自動データ更新対応

WT300Eシリーズのラインナップ

WT300Eシリーズのラインナップ

モデル別電流入力範囲、および測定帯域

同クラストップレベルの電力基本確度

コンパクト電力計でトップレベルとなる電力基本確度±0.15%(50/60Hz)を全てのレンジで実現。幅広い入力に対して高確度な測定が可能です。同時に、低力率時の電力測定確度も、0.1% of S(皮相電力)と従来機種の2倍に向上しています。

 

入力信号の変化に追従したデータ更新機能

周波数が変動するモーターのような機器を測定する際、変化する周波数を自動的に捉え、最低0.1Hzから電力測定できる機能です。
従来機種からの固定データ更新レート設定に加えて、入力信号の周期を自動検出し、これに同期してデータ更新を行う設定“AUTO”が選択できます。

入力信号の変化に追従したデータ更新機能

AUTO設定時の動作イメージ図

 

PLCやレコーダとの接続

Modbus/TCP通信機能*¹やレコーダGM、GP*²の専用 通信機能により、簡単に高確度なデータ収集ができます*³。
ソフトウェアGA10*²でのデータ収集も可能です。また、生産現場で使用されるPLC FA-M3V*²もイーサネットのVXI-11プロトコルにより、容易に通信接続できます。

PLCやレコーダとの接続

一方、各測定値を±5Vのアナログ電圧に変換して出力することも可能*4。お手持ちのデータロガーやレコーダへの接続も容易です。さらに、あらかじめ設定した判定値と測定値を比較し、その判定結果を外部に電圧信号として出力するコンパレータ機能*5も用意しています。

*1 Modbus/TCP通信には、/C7イーサネットオプションが必要です。
*2 GP、GM、GA10、FA-M3Vは横河電機株式会社の製品です。
*3 レコーダ(GP、GM)との接続には/E2および/MCオプションが必要です。
*4 WT310E/WT310EH(/DA4) は4ch、WT332E/WT333E(/DA12)は12chのオプション装着が可能です。
*5 リレー接点出力を使用する場合は、リレーおよびリレー駆動回路が必要になります。

 

最大表示とオートレンジ範囲の拡大

CF = 6の定格レンジの最大表示は140%まででしたが、新機能CF = 6Aの設定により、定格レンジの最大表示280%まで拡大しました。このことで、オートレンジの場合はレンジアップのレベルが拡大し、頻繁なレンジ変更動作が低減されます。

 

WT300シリーズとWT300Eシリーズの主な仕様変更点

  WT300E WT300
電力基本確度
45Hz≦f≦66Hz
±(0.1% of rdg.+0.05 % of rng.) ±(0.1%of rdg.+0.1 % of rng.)
力率の影響
力率(λ)=0
45Hz≦f≦66Hz
±0.1% of S (S:皮相電力) ±0.2% of S (S:皮相電力)
データ更新周期 新たに、低周波信号入力時に一周期分データ捕捉後にデータを更新するモードを追加。 現状は入力に関係なく設定周期でデータ更新するため、低周波信号入力時に「-」表示になる。
CF=6時の表示範囲の拡大 CF=6Aのレンジ変更モードを新規追加,UP時=現レンジの260%,
最大表示は280%まで
CF=6時のレンジ変更条件
UP時=現レンジの130%
最大表示は140%まで
Modbus/TCP対応 Modbus/TCP対応 未対応

ワイドな電流入力レンジ対応ラインナップ

機器の待機時の微小電流から、IHクッキングヒーターなど40Aまでの大電流測定やDC入力測定が可能です。

WT300Eシリーズのラインナップ

WT300Eシリーズのラインナップ

モデル別電流入力範囲、および測定帯域

 

電力、積算、高調波の全項目を最速100msで測定

最速100msデータ更新レートでの測定値表示およびデータ通信出力が可能ですので、生産ラインのタクトタイム短縮ができます。

 

レンジスキップ機能

従来機種では、オートレンジ動作の際、レンジ切り替え動作に長い時間を要してしまう場合がありました。このことを解決するために、上位モデルのレンジスキップ機能を採用しました。あらかじめ選択したレンジ以外はスキップするのでオートレンジ動作時は、高速で選択されたレンジに切り替わります(付属ソフトウェアのWTViewerFreePlusによって設定)。

入力信号が変化

レンジスキップ機能

レンジスキップ機能の動作イメージ図

 

実測に役立つ機能

MAXホールド機能

測定中の電圧/電流の最大値を保持できます。

 

ラインフィルター機能、周波数フィルター機能

ノイズ、あるいは高調波の不要な成分をカットし、安定した測定が可能です(カットオフ周波数=500Hz)

 

積算時のオートレンジ機能

負荷状態が大きく変化する機器の待機電力や積算電力(Wh)/積算電流(Ah)を測定する場合に、大変有効な機能です。従来、積算中は固定レンジでしたが、本機能は、積算中の消費電力値/電流値の変化に追従させて、オートレ ンジで動作する機能です。急峻な動作などによって状態が変化し、設定しているレンジ定格をオーバーした場合でも、 レンジアップして積算し続けます。
※ この機能使用時のレンジ変更中にはデータ補正があります。仕様の積算の項を参照ください。

 

最大表示とオートレンジ範囲の拡大

CF = 6の定格レンジの最大表示は140%まででしたが、新機能CF = 6Aの設定により、定格レンジの最大表示280%まで拡大しました。このことで、オートレンジの場合はレンジアップのレベルが拡大し、頻繁なレンジ変更動作が低減されます。

 

通信機能の充実

生産ラインでの検査や実験ベンチでのPCによるデータ収集用に、USB、GP-IB/RS-232(どちらかを選択)、およびイーサネット(オプション)の各種通信インタフェースを装着できます。付属のPCアプリケーションソフトウェアWTViewerFreePlusを利用することで、WT310E/WT310EH/WT332E/WT333Eの測定条件の設定のほか、数値データ収集、トレンド表示、波形表示等を手軽に行うことができます。
※ 波形表示には/G5オプションの搭載が必要です。

通信機能の充実

実験ベンチ

エアコンの評価装置

 

大電流測定用の外部電流センサー入力

電圧出力型の外部電流センサーやクランプオンプローブを利用して、40Aを超える大電流を測定することが可能です。電流センサーの入力レンジは、2.5Vから10V(/EX1)、または50mVから2V(/EX2)のどちらかのオプションを選択できます。

 

高調波の同時測定

THD演算の最大次数指定が可能

電圧/電流の実効値や電力値などの通常測定項目と同時に高調波の測定が可能です。高調波測定の項目には、電圧/電流/電力の基本波および最大50次までの高調波成分、含有率、全高調波ひずみ(THD)、および基本波に対する位相差が含まれます。THD演算については、最大次数の指定が可能です。そのため、規格試験の要求事項であるAC電源の電圧ひずみ率も表示することができます。

 

海外の各種規格試験に対応

海外の各種規格試験に対応
消費電力測定ソフトウエアの画面表示例

IEC62301 Ed2.0およびEN50564:2011指令など、情報機器や家電製品などに要求される待機電力測定や、サーバーの 電力評価試験SPECpowerの要求事項に適合しています。
※近日対応予定

家電製品の生産ライン検査や抜き取り試験
対応機種:WT310E/WT310EH/WT332E/WT333E

  • 通常/積算/高調波の各項目の同時測定
  • USB、GP-IB/RS-232(どちらか選択)、イーサネット(/C7)に対応
  • D/A出力(/DAx)※とModbus/TCP通信(/C7)に対応
  •  ※オプション

ベネフィット: コストパフォーマンスの高い検査用システムを構築できます。

生産ラインの検査では、電圧/電流/電力/周波数/効率の他、全高調波ひずみなどの重要なパラメータを同時に測定することで、タクトタイムを短縮でき効率化が図れます。データは、D/A出力または通信出力することによって、レコーダもしくはPCに記録/保存することが可能です。

家電製品の生産ライン検査や抜き取り試験

 

IEC62301およびSPECpowerなどの海外規制/規格に対応
※近日中に対応予定
対応機種:WT310E

  • 微小な待機電力測定に対応した、0.01mW単位の高分解能
  • IEC62301 Ed2.0対応のPCソフトウェア*¹(無償)

ベネフィット: 低コストで、各種規格に対応した測定が可能です。

消費電力測定ソフトウェア(無償・ダウンロード可能)、またはWTViewerFreePlus(付属ソフトウェア)を利用することで、費用対効果に優れた規格対応の待機電力測定*²と消費電力測定*²が可能です。
*1 IEC62301 Ed2.0は、EN50564:2011指令における参照規格となっています。本ソフトウェアは両規格の試験方法に対応しています。
*2 測定には、低ひずみAC電源と高調波測定(/G5オプション)が必要です。

ソフトウェア利用

 

省エネ家電製品の開発&評価
対応機種:WT310E

  • 積算時のオートレンジ機能
  • レ ンジスキップ機能を用いると、事前に設定したレンジ間で高速にレンジ切り替えが可能
  • 5mAレンジで微小電流を測定可能

ベネフィット: 開発時のコスト削減と評価工数の短縮が図れます。

上位モデルから移植されたレンジスキップ機能により、オートレンジのレンジ切り替えに要していた時間を短縮できます。また、従来は微小電流測定用と大電流測定用の2台の電力計を駆使して行っていた積算による評価が、積算時のオートレンジ機能により、WT310E 1台で可能になります。

入力信号が変化

レンジスキップ機能の動作イメージ図

WT310E/WT310EH/WT332E/WT333Eのレンジスキップ機能の動作イメージ図

 

大電流のオール電化製品などの評価
対応機種:WT310EH

  • 外部電流センサーを使用せずに、単相40Armsの大電流を直接測定
  • 積算時のオートレンジ機能

ベネフィット: ワイドな電圧/電流レンジで、大容量機器の評価も可能です。

WT310EHは直接40Arms入力が可能なため、外部電流センサーを用いることなく、大電流を精度良く測定できます。 電流レンジは1Aから40A、電圧レンジは15Vから600Vのワイドレンジです。たとえば、オール電化向けのIHクッキングヒーターなどの大電流機器の評価が可能です。

 

自動車向けDC駆動機器やバッテリの評価
対応機種:WT310EH

  • DC測定確度:トータル0.5%(WT310Eは0.3%)
  • 40Aの大電流を直接入力可能
  • バッテリの充電/放電(±Wh、±Ah)測定

ベネフィット: 直接入力により高精度でDC大電流駆動の機器の評価が可能です。

外部電流センサーを用いずに、最大40AのDC電流を直接、高精度で測定できます。特に、自動車の車載機器を評価する際に威力を発揮します。また、積算機能を用いることで、バッテリーの充電/放電特性の試験が可能です。

自動車向けDC駆動機器やバッテリの評価

 

特殊波形駆動の機器やDC重畳のひずみ波測定
対応機種:WT310E/WT310EH/WT332E/WT333E

  • DC、0.1Hzから100kHzの測定帯域(WT310EHを除く)
  • 積算による平均有効電力値の演算が可能

ベネフィット: 特殊な波形の測定でも、積算機能で平均有効電力を算出できます。

DCおよび0.1Hzから100kHzの広い測定帯域により、方形波、DC重畳波形などで駆動される機器の消費電力を精度良く測定できます。また、省エネ設計された間欠発振動作など、電力値の変化が大きな機器の消費電力を求める際には、積算機能を利用し、積算した時間内での平均有効電力値の演算が有効です。

特殊波形駆動の機器やDC重畳のひずみ波測定

間欠発振動作波形の例(調光用)

 

方形波駆動の例(HIDなど)

 

産業用モーターの耐久評価試験
対応機種:対応機種:WT332E/WT333E

  • 長時間の積算機能(Wh、Ah)
  • Modbus/TCP通信(/C7オプション)やD/A出力機能(/DA12オプション)によりモニタリングが可能
  • DC、0.1Hzから100kHzの測定帯域

ベネフィット: 信頼性の高い長時間の測定とともに、データのモニタリングが可能です。

消費電流の積算(Ah)と電力量(Wh)を最大10,000時間まで長時間測定が可能です。また、Modbus/TCP 通信やD/A出力機能を使用して外部のレコーダに出力し、回転数、トルク、温度などの他のデータと一緒に測定値を長時間モニターすることができます。

産業用モーターの耐久評価試験

※ GA10、GP20は横河電機株式会社の製品です。

 

無停電電源(UPS)の評価
対応機種:WT332E/WT333E

  • THD演算において、最大次数の設定が可能
  • 効率演算
  • 積算による平均有効電力値の演算が可能

ベネフィット: UPS試験に必要なパラメータを同時測定でき、評価時間の短縮が図れます。

UPSの性能試験向けに、出力レベル、周波数、総合ひずみ率、入出力間の効率などの項目を同時に測定、および演算ができます。各項目の同時測定には、WTViewerFreePlus(付属ソフトウェア)が便利です。

無停電電源(UPS)の評価

AC/DC電流センサー CT2000A/ CT1000/ CT200/ CT60

CTシリーズはそれら電力・効率測定の可能性を広げ、大電流の動作環境下での評価を可能にする電流センサーです。

外部センサー用ケーブル B9284LK

外部入力接続用ケーブル 50cm 水色
販売単位:1
価格 ¥4,000 (税抜)

測定リードセット 758917

1000Vrms-CATⅡ 0.75m、安全端子(バナナ オス)-安全端子(バナナ オス) 赤黒2本セット
701959, 758921, 758922, 758929などと組合せて使用
販売単位:1
価格 ¥5,500 (税抜)

接続ケーブル 705926

701953用ケーブル(1m)
販売単位:1
価格 ¥8,000 (税抜)

フォーク端子アダプタセット 758921

1000Vrms-CATII 赤黒2ヶセット、フォーク端子4mm-バナナ端子(メス)変換
販売単位:1
価格 ¥2,800 (税抜)

ワニグチアダプタ(小) 758922

定格300V 300Vrms-CATII 赤黒2ヶセット、安全端子(バナナ メス)-ワニグチ変換
販売単位:1
価格 ¥2,200 (税抜)

安全端子アダプタセット 758923

バネ押さえタイプ (バナナ オス)、 赤黒2ヶセット
販売単位:1
価格 ¥2,800 (税抜)

BNC変換アダプタ 758924

500Vrms-CATII 安全端子(バナナ メス)-BNC(オス)変換
販売単位:1
価格 ¥6,600 (税抜)

ワニグチアダプタ(大) 758929

定格1000V 1000Vrms-CATII 赤黒2ヶセット、安全端子(バナナ メス)-ワニグチ変換
販売単位:1
価格 ¥3,500 (税抜)

安全端子アダプタセット 758931

ネジ締めタイプ (バナナ オス)、 赤黒2ヶセット
ケーブル固定用1.5mm六角レンチ(B9317WD)付
販売単位:1
価格 ¥2,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751533-E2

EIA単装用
販売単位:1
価格 ¥11,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751533-J2

JIS単装用
販売単位:1
価格 ¥11,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751533-E3

EIA単装用
販売単位:1
価格 ¥16,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751533-J3

JIS単装用
販売単位:1
価格 ¥16,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751534-E2

EIA単装用
販売単位:1
価格 ¥11,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751534-J2

JIS単装用
販売単位:1
価格 ¥11,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751534-E3

EIA単装用
販売単位:1
価格 ¥16,000 (税抜)

ラックマウント用キット 751534-J3

JIS連装用
販売単位:1
価格 ¥16,000 (税抜)
概要:

電流クランプを用いて大電流測定

WT500は50mV~10V、WT300E/WT310/WT330は50m~2V、または2.5/5/10Vのいずれかを選択できます。電流クランプを用いると、電源回路の結線を外すことなく、電流測定が可能です。

電流クランプを用いて大電流測定

 

レコーダに記録

WT300E/WT310/WT330は電圧、電流、電力をはじめとする各測定データを記録計に±5V定格で出力し、データを紙に記録したり、データの経時変化を調べられます。

高調波を測定

50次までの電圧、電流、有効電力、高調波ひずみ率(THD)、基本波に対する位相角を演算でき、電源環境評価に適しています。

通信で制御、記録

無償ソフトウェアのWTViewerを使って、PCから簡単にWT300E/WT310/WT330をコントロールしたり、PCにデータを保存できます。

アプリケーションノート
359 KB
業種:
概要:

1.概要

地球温暖化は、毎日消費するエネルギーと密接な関係にあります。とくに近年は、長時間スイッチを入れた状態になりがちなオフィス機器のエネルギー消費が問題になっています。
「国際エネルギースタープログラム」は、これらの機器の消費電力を削減するために生まれた制度です。
国際エネルギースタープログラムは、1995年10月から日米両政府の合意のもとに実施されています。EU、カナダ、オーストラリア、台湾など世界7カ国で実施されているオフィス機器の国際省エネルギー制度です。
コンピュータ、ディスプレイおよびプリンター、スキャナ、ファクシミリ等の画像機器が対象になります。
製品の稼動、スリープ、オフ時の消費電力などについて、省エネ性能の優れた上位25%の製品が適合するように基準が設定されて、この基準を満たす製品にロゴの使用が認められます。

このプログラムでは、機器の種類によって試験方法および測定器の性能を細かく規定しています。また省エネを実現した機器では稼動状態とスリープ状態の消費電力の差が激しく測定が難しくなるため、測定器の使用方法および選別には注意が必要です。

2.エネルギースター対象機器の試験条件

対象機器によって適合基準と試験方法が決められています。

 2.1.コンピュータおよびディスプレイ
消費電力と低消費電力モードへの移行時間が決められています。

■ コンピュータ

  • 消費電力
    アイドル時、スリー-プ時およびオフ時消費電力(W)
  • スリープまたはオフモードへの移行時間
    コンピュータが無動作状態になってから15分以内(ディスプレイ)、30分以内(コンピュータ)

■ ディスプレイ

  • 消費電力
    稼働時、スリープ時およびオフ時消費電力(W)
  • スリープまたはオフモードへの移行時間
    ディスプレイが無動作状態になってから30分以内

 2.2.画像機器
機器の種類によって試験手順と適合基準が決められています。

2.2.1.Typical Electricity Consumption (TEC)試験手順

● 対象機器
 電子写真(EP)や固体インク(SI)などの技術を使用する標準サイズの画像機器(IE)製品
  (複写機、デジタル印刷機、ファクシミリ、複合機(MFD)、プリンターなど)

● 判定基準
 概念的1週間の消費電力量を基準とします。
 1日の稼動状態を以下のように規定しています。

TEC測定で規定する1日の稼動状態

図1:TEC測定で規定する1日の稼動状態

 1回の測定での消費電力は以下の手順で測定します。

TEC測定の手順

図2:TEC測定の手順

 測定結果を元に1日あたりのジョブに必要な消費電力量を算出します。

 ジョブに必要な平均消費電力量
     =(ジョブ2+ジョブ3+ジョブ4)/3

 1日あたりのジョブに必要な消費電力量
     =(ジョブ1×2)+[(1日あたりのジョブ数-2)×ジョブに必要な平均消費電力量)]

 TECは対象機器のよって計算方法が2通りあります。

● プリンタ, プリント機能付きデジタル印刷機, プリント機能付き複合機, およびファクシミリの場合

 1日あたりのスリープ時の消費電力量
     =[24時間-((1日あたりのジョブ数/4)+(最終時間×2))] ×スリープ時の消費電力

 1日あたりの消費電力量
    =1日あたりのジョブに必要な消費電力量+(2×最終時の消費電力量)
      +1日あたりのスリープ時の消費電力量

 TEC = (1日あたりの消費電力量×5)+(スリープ時の消費電力×48)

● 複写機, デジタル印刷機, プリント機能の無い複合機の場合

 1日あたりの自動オフ時の消費電力量
    =[24時間-((1日あたりのジョブ数/4)+(最終時間×2))] ×自動オフ時の消費電力

 1日あたりの消費電力量
    =1日あたりのジョブに必要な消費電力量+(2×最終時の消費電力量)
       +1日あたりの自動オフ時の消費電力量

 TEC = (1日あたりの消費電力量×5)+(自動オフ時の消費電力×48)

2.2.2.Operational Mode (OM)試験手順

以下対象機器に含まれる画像機器は、OM試験手順で決められた試験方法で
消費電力と低消費電力モードへの移行時間が評価されます。

● 対象機器
 インクジェット(IJ), ドットマトリックス, インパクト等のマーキング技術を使用する製品や
 スキャナ、すべての大判および小判機器
● 判定基準
 ・消費電力 : スリープ時および待機時の消費電力
 ・スリープ状態への移行時間 : 無動作状態になってから5~60分以内スリープ状態になること

Note : 参考文献
 “ENERGY STAR® Qualified Imaging Equipment Operational Mode (OM) Test Procedure”


 2.3.測定への要求事項

2.3.1.電源および周囲環境

・ 電源電圧
  北米/台湾 : 115V (±1%)  AC, 60 Hz (±1%)
  欧州/豪州/ニュージーランド : 230V(±1%) AC, 50 Hz (±1%)
  日本 : 100 V(±1%) AC, 50 Hz (±1%)/60 Hz (±1%)
  注:最大消費電力が1.5kWを超える製品に対して、電圧範囲は±4%である。

・ 全高調波歪み (THD)(電圧)< 2% THD
 (最大消費電力が1.5kWを超える製品に対しては、<5% THD)

・ 周囲温度 : 23℃ ± 5℃
・ 相対湿度 : 10 - 80 %

2.3.2.電力計への要求事項

・ 有効電力測定帯域
  有効電力測定帯域 3 kHz以上
  SW方式の電源を内蔵した機器を考慮する。

・ 有効電力測定分解能

  P≦10W 0.01W
  10W<P≦100W 0.1W
  100W<P≦1500W 1W
  1.5kW<P 10W

・ 積算消費電力量の測定値は、平均消費電力に変換された場合に、これらの値と一致する分解能でなくてはならい。
・ 精度  0.5%以内
・ 校正  12ヶ月ごとに校正を実施しなければならない。

Note : 参考文献
 “TEST CONDITIONS AND EQUIPMENT FOR ENERGY STAR® IMAGING EQUIPMENT PRODUCTS”

3.エネルギースター対象機器向けの電力計

3.1.積算機能

コピー機のようなOA機器では、感熱工程、紙送り工程などで大きなエネルギーを消費します。
省エネルギー化を実現している機器では、必要時のみエネルギーを消費し、必要以外のエネルギーを削減することで省エネを実現しています。そのため、稼動状態を測定する場合でも変動の激しい測定となります。
測定器の測定値表示をモニターしても値の変動が激しいため、平均的な稼動状態の電力を測定するのは困難です。
このため電力計の積算機能を使って測定します。
積算電力を時間換算することで稼動状態の平均的な電力を得ることができます。
式
   Pavg:稼動区間の平均的な電力(W)
   WP:稼動区間の積算電力(Wh)
   Ti:稼働時間(積算時間)(h)

変動する対象の積算で重要なことは、測定ギャップの有無です。
測定器によっては、データ更新区間中に有効データ区間と、測定していない無効データ区間(測定ギャップ)が存在するものがあるので注意が必要です。
測定ギャップがあるとその区間の変動を測定できないため、正しい結果が得られなくなります。
横河電機が現在販売しているWTシリーズは、すべてNo Gapで積算値を測定するので、安心して使用いただけます。

変動測定対象と測定器の測定区間

図3 変動測定対象と測定器の測定区間

電力計によっては、測定ギャップが生じるものがあるので注意が必要です。
WTシリーズでも積算ではない通常測定ではギャップが生じます。
有効電力の測定データを収集してPCで積算演算するような処理をすると、WTシリーズ本体で積算した結果と異なることがありますので注意が必要です。
さらに、WTシリーズは豊富な演算機能により、積算区間内の平均電力をリアルタイムに表示できます。


3.2.確度

エネルギースター対象機器は電力測定では、測定精度0.5%以内という規定があります。
電力計の測定確度は読み値誤差とレンジ誤差で表現されます。
以下に測定器の設定と測定誤差についての例を示します。

条件例 
  レンジ設定 : 100V/1A レンジ
  電力計確度 : 仕様 0.1% of reading + 0.05% of range
例1 
  入力の条件 : 100V,1A 力率1 有効電力 100W
  トータルの誤差 :  
    100W×(0.1% of reading)+100Wレンジ×(0.05% of range)
    =0.1W+0.05W  =0.15W (0.15% of reading)
例2 
  入力の条件  : 100V,0.5A 力率1 有効電力 50W
  トータルの誤差 :  
    50W×(0.1% of reading)+100Wレンジ×(0.05% of range)
   =0.05W+0.05W =0.1W (0.2% of reading)

このように同じ測定レンジでも、測定レンジに対して入力が小さいときの方が測定誤差が悪くなることがわかります。 適正レンジで測定することが重要です。
機器の省エネ化、待機電力の削減が進むことにより、よりワイドな電流レンジが必要になってきます。
コンピュータやディスプレイ、OM 試験手順が適応される画像機器では、待機状態の微小電流を測定ことが多いため、最適な微小電流レンジを有する測定器が必要です。
変動の激しい測定を行うときにはレンジを固定にして、積算で測定を行います。このとき測定レンジはオーバーレンジにならないように、測定期間中の最大の値に合わせてレンジを設定します。
測定期間中に測定対象の消費電力が小さくなると、レンジに対して小さい入力になります。
この期間の測定は、測定精度が悪くなってしまいます。
以下に積算電力から平均電力を求めるときの測定誤差の考え方を示します。

変動する電力の誤差考察の例

図4 変動する電力の誤差考察の例

積算電力:100W×15/60+10W×135/60=25+22.5=47.5 (Wh)
平均電力:47.5 Wh/150×60 = 19 (W)
100Wレンジで19Wを測定したときの確度:
  電力計の仕様 0.1% of reading + 0.05% of range
  19W×0.1%+100W×0.05%=0.019W+0.05W=0.069W
  測定値 19Wに対して 0.36%

一般的に、レンジに対して測定入力が小さい区間が多いほど測定誤差が大きくなります。
仮に積算中にレンジを変更できたとしても、レンジ変更には時間がかかり測定ギャップができてしまいます。変動が激しい測定をしていると、レンジが頻繁に変更されて、かえって誤差が大きくなってしまう可能性もあります。
TEC試験手順が適応される画像機器では、固定レンジでダイナミックレンジの広い測定を行うことになりますので、レンジ誤差の小さい測定器を選択することが重要になります。
測定器のレンジ誤差を左右するのは測定回路の直線性の性能です。
現在発売している横河電機の電力計は、すべてディジタルサンプリング方式を採用しているため、アナログ掛け算方式など他の方式の電力計に比べて優れた直線性を示します。
また、測定器によっては、電力測定値が小さいときには測定値を強制的にゼロにしてしまい電力値が測定できない測定器もありますので注意が必要です。

3.3.横河電機の測定器と要求事項との比較
横河電機の測定器と要求事項との比較

4.まとめ

エネルギースター対象機器の適合試験についてと、測定器に求められる性能について説明しました。
エネルギースター対象機器の測定における横河のWTシリーズの優位性は、以下のとおりです。

  • ディジタルサンプリング方式による優れた直線性
    測定レンジに対して小さい入力でも高精度な測定値を示します。
  • ギャップのない積算機能
    測定ギャップのない積算により変動の激しい測定対象の正確な積算値を得ることができます。
    さらに演算機能により積算区間内の平均電力をリアルタイムに表示できます。

その優れた直線性とワイドレンジで、デジタルパワーメータ WT1600が日本国内の画像機器業界各社で多く
採用されています。

また横河電機は世界最高精度の電力測定精度に加えて、高調波電流およびフリッカ等の低周波EMCに関する最新の規格試験に対応するフラグシップ製品のプレシジョンパワーアナライザWT3000を提供しており、
より高い要求に対応しています。

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