ディジタル圧力計 MT300

豊富な機能により、
様々な圧力計測ニーズを支援

高精度な測定を支援

高分解能表示―/R1オプション
圧力測定値の表示分解能を上げることで、より高精度の圧力測定が実現できます。
また、校正環境構築においては、校正環境全体の不確かさを下げることが可能です。

高速測定―/F1オプション
圧力の過渡応答状態の観測など、高速な圧力変動を確実にとらえます。アプリケーションに応じて、標準、中速、高速の３つのモードから、選択していただけます。

同期測定
異なる測定対象を同時に測定する場合、同期機能を使用することで、より高い精度で相関を検証できます。

【事例】
吸引力は、掃除機の性能試験における吸入空気量と均圧容器内の真空度から計算により求められます。吸入空気量はピトー管を介して差圧を測定することにより得られ、真空度は絶対圧を測定することにより得ることができます。/F1オプションにより動的特性を高速に捕捉でき、また、この２つの値を同期測定することにより、より精度の高い結果を得ることができます。

測定事例：掃除機の吸込仕事率測定

効率的な作業をサポート

リークテスト
単位時間当たりの圧力変化量（リークレート）を測定します。圧力システム内の密閉性の確認にご利用いただける機能です。

スケーリング
スケーリング機能を用いて測定値に固有の係数を付与することで、お客様独自の換算値を表示することができます。
次式に従いスケーリングできます。

ｙ＝Ax ＋ B

直接入力モード：係数Aとオフセット値Bを直接入力します。
2点モード：次式に従い係数Aとオフセット値Bを求めます。

※ 表示単位を変更したときは、係数Aとオフセット値Bを再度設定してください。

統計処理
連続で取得したデータに統計処理をかけることができます。取得したデータの最大値、最小値、平均値、標準偏差を表示します。

外部機器との連携をサポート

D/A出力機能―/DAオプション
測定値のD/A変換信号を外部端子から出力します。測定システムや記録計などへのデータ出力が簡単に行えます。
/F１オプションとの併用により、出力更新周期を0.25msに設定できます（中速・高速モード）。
また、ダイナミックモードでの測定により、高速で滑らかな観測波形が得られます。

観測波形イメージ（実際の測定条件により異なります）

傾斜アラームと傾き補正機能―絶対圧モデル

傾斜アラーム機能
本体の姿勢状態を判定して、警告表示します。

傾き補正機能
傾斜アラームがONのとき、本体垂直姿勢で使用した際の圧力測定値のオフセットを補正します。

判定結果と圧力測定値の表示色
青色：正しく補正されている。
赤色：補正が必要、または不要な補正が行われている。

		垂直姿勢	水平姿勢
Tilt Alarm ON	Tilt Corr ON
	Tilt Corr OFF

例：傾斜アラームと傾き補正イメージ

D/Aスケーリング機能―/DAオプション
圧力測定レンジの任意の範囲を、D/A発生レンジのフルスケールで出力します。
圧力の微小変化を高分解能に捕捉することが可能になります。

測定事例：微小な大気圧変動の測定

コンパレータ出力機能―/DAオプション
上限値・下限値を設定して測定値を判定し、結果を出力します。
圧力関連製品の製造・検査ラインの自動化などにお役立ていただけます。

通信インタフェース
GP-IB、USB、ETHERNETを標準搭載しています。
通信コマンドは従来機種^※1との互換性を維持^※2※3しており、お客様の計測システムの拡張や更新を容易に行っていただけます。
※1：MT210、MT210F、MT220
※2：一部使用できないコマンドがあります。
※3：-G07、-G08、-A05、-A06は使用できません。

データストア機能
測定したデータを本体内部ストレージに保存することができます。
ストアしたデータは、USBなどの通信機能により容易にPCに取り込むことができ、データの解析や検証、レポート作成などに活用できます。

フィールド機器の校正業務を支援

24VDC出力―/DMオプション
トランスデューサなどへの電源供給が可能です。

DCV、DCA測定―/DMオプション
計装信号（1-5V、4-20mA）の測定が可能です。
250Ωの通信抵抗を内蔵しており、ON/OFFの切り替えが可能です。

バッテリ駆動―/EBオプション
リチウムイオンバッテリ駆動によりAC電源のない環境に持ち出すことが可能です。
連続動作時間：全機能ONで約6時間
充電時間：約6時間

フロントパネル

	圧力入力接続口※1		メニューキー
	圧力レンジ表示		ソフトキー
	ダイレクトキー		24VDC出力端子/電圧電流入力端子 （/DMオプション）
			受圧部基準点
※1 フロントパネル／リアパネルの接続口への同時入力はできません。 差圧モデル（-D□□）には、フロントパネルとリアパネルにそれぞれ2つの入力接続口がつきます。 -G08（70MPaレンジ）の入力接続口はリアパネルのみとなります。

リアパネル

	圧力入力接続口※1		イーサネットポート
	圧力レンジ表示		PC接続用USBポート
	D/A出力端子 （/DAオプション）		外部トリガ/同期信号入力端子
	コンパレータ出力端子 （/DAオプション）		同期信号出力端子
	GP-IBコネクタ
※1 フロントパネル／リアパネルの接続口への同時入力はできません。 差圧モデル（-D□□）には、フロントパネルとリアパネルにそれぞれ2つの入力接続口がつきます。 -G08（70MPaレンジ）の入力接続口はリアパネルのみとなります。

重錘形圧力天びんによる圧力校正

高い校正能力が要求される圧力校正には、重錘形圧力天びんが使用されます。重錘形圧力天びんは、信頼性の高い機器であり、各国の国家計量標準機関やハイエンドな校正事業者の圧力標準として広 く使用されています。

概要
重錘形圧力天びんを用いて校正をする場合、圧力計を接続し、校正された値が正しく発生されているかを確認する必要があります。
また、圧力校正においては大気圧の変化が影響するため、環境測定も重要なポイントになります。

ポイント
発生圧に対し高精度な測定を行うことにより、高い校正能力の実現が可能となります。
また、校正機器の長期安定性により、機器、環境を長期に維持することが可能となり、同一環境による被校正器の健全性を均質的に提供することが可能となります。

小型コンプレッサ性能試験における差圧（流量）測定

小型コンプレッサ（容積形圧縮機）の性能試験は、JIS B 8341/  ISO 1217に従い行われていますが、そのうち実体積流量の測定方法は、JIS Z 8762  /  ISO 5167で規定される円形管路の絞り機構を用いた流量測定方法に従うことを推奨しています。

概要
JIS Z 8762 / ISO 5167では、円形管路を流れる流体の流量を測定する方法として、円形のオリフィス板の上流側と下流側との間に生じる静圧差を測定することで求めるとものとされています。

ポイント
JIS Z 8762 / ISO 5167で規定されるオリフィスの絞り孔径は、12.5 mm以上が指定されており、少ない流量の測定では、上流側と下流側の差圧が小さくなるため、微差圧を高確度で測定できる圧力計が必要になります。

EV用水冷式デバイスのクーラント流路圧力損失測定

電気自動車（EV）には、モーター、バッテリ、パワー制御ユニットなど温度管理が必要なデバイスが多数実装されています。それらのデバイス毎に発熱量や最適温度が異なるため、通常は1台の自動車に複数の冷却装置が装備されています。EVの性能向上に伴い、冷却装置の重要性はますます高まっていきます。

概要
冷却回路の効率化（＝省エネ化）のため、デバイスをクーラントで冷やす水冷式冷却装置の開発/設計において、クーラントが流れる流路の圧力損失測定が不可欠です。

ポイント
MT300差圧モデルは1台で高確度0.01%の差圧測定が可能です。ラジエータや電動ウォーターポンプの圧力損失測定をはじめとした、EV開発における熱マネージメント分野での差圧測定アプリケーションで多くの採用実績があります。

ガスメーター漏れ試験

JIS B 8571/OIML R 137-1&2は、エネルギー源として使用されるガスの体積を計量するガスメーターについて規定しています。ガスメーター外箱の構造について、「十分な耐圧性及び気密性をもつものでなければならない」と技術要件で規定されています。

概要
ガスメーターの漏れ試験では、加圧装置を使って試験用のガスを用いて、検査対象のガスメーターに規定圧力まで加圧した状態で封止して、圧力変化（漏れ量）を測定します。

ポイント
MT300には10 kPaレンジがあり、ガスメーターの評価で要求される低い圧力範囲を高確度、高分解能に測定することが可能です。また、リークテスト機能がありますので、リーク測定の開始から終了までの圧力変化をモニターでき、時間内のリークレートも表示可能ですので、業務の効率化に貢献します。

横河独自で開発・設計したシリコンレゾナントセンサ搭載により
高確度、高分解能、そして長期にわたる安定した圧力計測を実現

横河独自開発のシリコンレゾナントセンサは、安定性・再現性・感度・温度特性など『正確な計測』に要求される条件を満足する優れた特性をもちあわせています。

高い感度と分解能、優れた長期安定性
振動子が真空状態に置かれているため、振動エネルギーの放散が減少し、単結晶シリコンの優れた弾性特性との相乗効果で高いＱ値を得る事ができます。

極めて小さい温度依存性
２個の振動子を使用し、圧力は２つの固有振動数の差から求める差動方式をとっており、周囲温度のような外部環境の影響を相殺できます。また振動子が真空状態にあり、周囲温度や湿度などの影響を受けません。

シリコンウエハ上に半導体プロセス技術で作られた振動子を永久磁石で励振し、Siダイヤフラムに圧力が加えられると振動子に歪が発生し、共振周波数が変化します。

国家計量標準機関にむけた取り組み
―国際比較―

シリコンレゾナントセンサのもつ高い性能と長期にわたる安定性の評価結果から、圧力標準の国際比較用仲介器として横河のディジタル圧力計、圧力センサーが採用されています。

※ 仲介器（トランスファースタンダード）：
標準を比較するための仲介用として用いられる標準器

一般仕様

• 表示器：4.3型 TFTカラーLCD
• ウォームアップ時間：5分以内
• 使用温湿度範囲：
  5～40℃、20～80%RH　ただし結露なきこと
• 10～35℃、20～80%RH　ただし結露なきこと（-D00選択時）
• 保存温度範囲：-20～60℃　ただし結露なきこと
• 電源：AC、リチウムイオン電池の2電源方式
• 外形寸法：
  本体： 約213mm（W）×132mm（H）×350mm（D）（突起部含まず）
  バッテリパックカバー：約87mm（W）×31mm（H）×304mm（D）
• 質量：
  本体：-G01：約7.0kg
  -G03、-G05、-G06、-G07：約6.2kg
  -G08：約5.0kg
  -A03、-A05-、A06：約6.0kg
  -D00、-D01、-D03、-D05：約7.2kg
  バッテリパック＋バッテリパックカバー：約720g

主な圧力測定仕様

• 確度：0.02％ of reading
• 相対確度^*1：0.01％ of reading または0.01％ of FSのいずれか小さい方

*1：横河の作業用計測器に対する相対値

• 表示分解能：最大6桁（最大7桁：/R1オプション選択時）
• 確度保証範囲：
  　　-G01（10kPa ゲージ圧モデル）：-10~10kPa　
  　　-G03（200kPa ゲージ圧モデル）：-90~200kPa 　
  　　-G05（1000kPa ゲージ圧モデル）：-90~1000kPa
  　　-G06（3500kPa ゲージ圧モデル）：-90~3500kPa
  　　-G07（16MPa ゲージ圧モデル）：0~16000kPa
  　　-G08（70MPa ゲージ圧モデル）：0~70000kPa
  　　-A03（130kPa 絶対圧モデル）：0~130kPa abs
  　　-A05（700kPa 絶対圧モデル）：0~700kPa abs
  　　-A06（3500kPa 絶対圧モデル）：0~3500kPa abs
  　　-D00（1kPa 差圧モデル）：0~1kPa
  　　-D01（10kPa 差圧モデル）：0~10kPa
  　　-D03（130kPa 差圧モデル）：0~130kPa
  　　-D05（700kPa 差圧モデル）：0~700kPa
• 圧力表示単位：Pa, hPa, kPa, MPa, mbar, bar, atm
• 測定媒体：気体および液体（非可燃性、非爆発性、非毒性、非腐食性の流体）

医療・計量分野に特化した専用モデルをラインアップ

MT300は、医療機器の開発や計量機関のニーズに応えるため、各種専用モデルを用意しています。これらのモデルは、医療機器の開発や検査など、従来の水銀柱圧力計に代わる高精度・高信頼性のディジタル圧力計として、各分野での基準器として活用されています。

 

 

専用モデル一覧（概要）
以下のリンクから、各モデルの詳細仕様・特長をご覧いただけます。

🔗 生体圧力計量機器用圧力計

🔗 血圧計用基準圧力計（計量検定所向け）
🔗 血圧計用基準圧力計（届出製造事業者向け）

🔗 基準電気式圧力計（計量検定所向け）
🔗 基準電気式圧力計（届出製造事業者向け）

※生体内圧力計量機器、または血圧計量機器の開発・生産などの用途を目的に、「生体内の圧力の計量」、「血圧の計量」に限定して法定計量単位として認められている 非SI単位を表示 したディジタル圧力計です。
医療用途及び、血圧計の器差検定や基準器検査の用途には使用できません。