
血圧計、ウェアラブル端末、ベッドサイドモニターなど
世界的な心血管疾患の増加や健康志向を背景として、血圧計市場の拡大が続いています。血圧計の開発や生産の現場では、製品の安全性・信頼性を確保するため、JIS T1115、IEC80601-2-30規格に基づいた精度試験、排気試験、漏れ試験などが義務付けられています。空気圧の測定や制御の正確さは、人体安全性に直結する重要試験項目であるため、特に厳密な検証が求められます。このため、これらの検査においては、習熟した担当者による手作業や、かなり以前に構築した設備に長年依存してしまっていることが多く、生産性向上のボトルネックになっています。
このような状況に対し、各種測定器をソフトウェア制御する自動検査システムの開発・導入が進められており、品質を確保しつつ生産性を向上する試みが模索されています。
血圧計検査システムにおいては、圧力測定および圧力制御が重 要になります。圧力測定器の内部では機械的変位を圧力値に 換算していますが、温度等環境の変化が誤差につながりやすい ため、取り扱いに注意が必要です。制御においては圧力コント ローラの選定が重要です。検査の品質と効率を高めるため、安 定性、再現性や応答性に優れた製品を選択する必要がありま す。また検査時間を短縮するため、測定ポイント数に応じ設置 したレギュレータを、バルブ切り替えにより試験を行うような場 合、追加の誤差要因となり、再現性を低下させます。
しかしながら、圧力の測定や、制御における誤差および取り扱 い上の注意点は、製品仕様や取扱説明書に明記されていない など不明瞭である場合が多く、実際の現場では、熟練作業者 による勘や経験でカバーされていることも珍しくありません。 もしもこのような状況で自動検査システム導入を進めてしまう と、今まで覆い隠されていたさまざまな課題が表面化してしま うことにもなりかねません。
血圧計検査システムの導入に際して特に注意すべきポイントは 下記のとおりです。
測定器内部で、圧力変化による変位を検出する機構は、その構造に起因するヒステリシス(入力が同一でも圧力の変化方向により測定値が異なる現象)を持っており、主な誤差要因の1つになります。検査の中で加圧と減圧を繰り返すような使い方の場合には特に注意が必要です。また、機構部分は温度変化によって一定の膨張・収縮が起きるため、これも圧力検出の誤差要因となります。
圧力の制御では、一般に応答性と制御品質はトレードオフの関係にあります。タクト短縮のため、短時間で加減圧を行うと、オーバーシュートやリンギングを発生させます。一方、試験によっては、わずかなオーバーシュートや、設定値到達後の変動が許容されないため、加減圧時間が長くなり、タクト短縮が困難になります。このように、圧力制御品質と検査時間とのバランスをどう取るかは大きな課題ですが、レギュレータなどが含まれるとさらに複雑になります。
システムで使用する測定器は、定期メンテナンスで精度や健全性を確認する必要がありますが、メンテナンスサイクルに対して十分な安定性を備えていないと、検査品質の低下や、突発的なメンテナンスで稼働率低下を招いてしまいます。また、加圧用コントローラが電磁弁の高速動作を伴うタイプである場合、故障が起きやすい問題があります。さらに、手作業の場合と異なり、自動検査システムでは、作業者によって異常やその予兆を早い段階で検知することも難しくなってしまいます。
横河計測のディジタル圧力計MT300と圧力コントローラMC300とを血圧計検査システムの中心に据えることで、圧力制御部と圧力測定部の信頼性を大きく向上させることができます。
MT300とMC300にはヒステリシスや温度による影響を抑え、再現性に優れたシリコンレゾナントセンサを採用しています。安定的に圧力をモニターし、高い精度の圧力制御、圧力測定を実現します。また、血圧計の検査で必要とされる圧力範囲に合致したレンジのモデルを用意していますので、誤差を抑え、信頼性に優れた検査が可能です。
MC300の圧力発生部は、電磁弁ではなく独自のニードル弁を採用し、最適制御により、高速応答でありながらオーバーシュートやノイズの極めて少ない圧力制御を実現しています。高速応答であるため、複数のポイントで試験する場合でも、外部のレギュレータを必要としません。また、出力ポートでの圧力値で出力確度を規定しているため*、検査システムへの組み込み時にも安心してお使いいただけます。さらに、血圧計の検査で必要となる微小な負圧領域まで、シームレスに発生することができます。
* 他社製品では内部圧力センサーの測定確度を表記している例が多数。

図1 負圧から正圧にわたるスイープ出力例
自動検査システムでは、ある測定器に予期せぬトラブルが発生すると、原因の特定と対策に多大な時間と費用を要してしまいます。MC300で採用している独自のニードル弁は、電磁弁に比べ耐久性に優れています。シリコンレゾナントセンサの高い長期安定性と相まって、MT300とMC300はシステム組み込みで長期間の安定運用が求められる用途に最適です。

図2 血圧計自動検査システムの構成例

図3 MT300(左)、MC300(右)
*モデルによって異なります。
高確度、長期安定性能と豊富なラインアップにより様々な圧力計測ニーズを支援
横河独自開発のシリコンレゾナントセンサの採用により0.01%の高い測定確度を実現。
3モデル、13レンジをラインアップし、最適なモデル、レンジを選択可能。
シリコンレゾナントセンサとニードルバルブ制御が相対確度±0.04%を実現
高確度、高分解能、そして長期にわたる安定した圧力制御で圧力制御を強力に支援
優れた直線性と再現性に加え設定圧まで低オーバーシュートかつ、応答時間5秒以内で高速に加圧が可能