ECU制御とインバータ・モーターの特性評価

概要

電動自動車（EV）におけるECUによるインバータ・モーター制御は、さらなる高度な制御や応答性を求められています。

制御プログラムの動作確認はもとより、制御プログラムの指示と実際のインバータ・モーターの動作を統合的に測定し、その挙動や応答性、妥当性などを評価することが、ますます重要になってきています。

これらの評価を行うには、ECUからのCAN/CAN FDデータや、バッテリ出力、インバータの内部制御や出力電圧・電流、モーターのトルク・回転数を統合して測定し、コントロールユニット（PCU）のRAM値と同期して解析することで、制御プログラムのコード進行とあわせた制御システムの特性評価が必要です。

ポイント

高電圧や大電流の波形計測において、絶縁不全や誤配線、過入力などに起因するショートや感電事故、計測器の破損の可能性があります。このような事故を防止するため、計測器が絶縁入力であることが重要です。DL950をはじめスコープコーダシリーズには、最大1000V入力モジュールをはじめ、多種の絶縁入力モジュールを用意しています。

各種モーターや制御システムの電圧・電流、モーター回転速度、バッテリ電圧変動をはじめ、振動や騒音、温度、ひずみなどを同時に測定する場合があります。DL950は、最大32チャネル、5台連結で最大160チャネルが可能です。

インバータやバッテリの急激な電圧変動を把握するには、高速サンプリングが必要になってきます。DL950は、最高200MS/sのサンプリングが可能です。また、チャネルごとに異なるサンプルレートを設定でき、温度など低速サンプルチャネルとあわせ、データ量を抑えることができます。

CAN/CAN FD/LIN/SENTの車載シリアルバス上のデータをトレンド表示できます。例えば、CAN FD上の車速データとモーター駆動の電圧・電流、モーター回転数、温度や振動などのセンサー出力と同時計測が可能です。

特長

DL950は、インバータ/モーターの様々な信号の波形データと同時にCAN/CAN FD/LIN/SENTといった車載シリアルバスのデータをトレンド表示することが可能です。

リアルタイム演算機能でトルク値・回転数を算出

ECU制御ソフトウェアと挙動の検証

IS8000統合計測ソフトウェアを利用すれば、DTSインサイト社製RAMScopeで取得した制御データとDL950で計測した各種の波形データを取り込んで同時表示でき、制御の応答性や妥当性を検証することができます。

負荷変動に対して高速にインバータの出力をPWM制御するパワーユニットの評価において、DL950の耐ノイズ性に優れた多チャネル・高速・高電圧入力とRAM値の同期測定が効果を発揮します。