光ファイバ向けマルチフィールドテスタ「AQ1200 OTDR」シリーズの新モデル「AQ1200E」「AQ1205E」を発売
横河メータ&インスツルメンツ株式会社(本社:東京都立川市 社長:金子 洋)は、光ファイバの機能試験向けのマルチフィールドテスタ「AQ1200 OTDR」シリーズに、新モデル「AQ1200E」「AQ1205E」を追加し、6月29日から販売を開始します。
OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)は、光ファイバの長さや接続点の把握、光ファイバの断線などの障害箇所の特定のために、その敷設工事や保守の現場で使用する測定器です。
マルチフィールドテスタ「AQ1200 OTDR」シリーズは、高い性能を有しながら、現場での使いやすさを追求し、現場で必要とされる機能に絞って小型・軽量・低価格を実現したOTDRです。これまでに「AQ1200A」「AQ1200B」「AQ1200C」の3機種を投入していますが、今回新たに2機種を追加しました。このたび発売する「AQ1200E」「AQ1205E」は、3つの波長に対応しアクセス系(通信局と加入者間)回線の敷設工事から保守作業までを一台でカバーできます。また、このうち「AQ1205E」は、広いダイナミックレンジと強化された波形収束性能により、多分岐化が進む光ファイバ通信網においても正確な測定を行えます。
開発の背景
動画などの大容量データのやり取りが増え、高速で大容量のデータ通信が可能な光ファイバ通信網の導入・整備が世界規模で進められています。中国やインドなどの新興国では通信インフラの整備に向けた光ファイバの敷設工事が盛んで、敷設工事での試験向けのOTDRの需要が増えています。また、光ファイバによる通信インフラ整備が進んでいる日本や韓国などでは、通信品質の確保や安定運用のために、保守作業向けのOTDRの需要が増えています。
光ファイバの保守に使用される当社の製品には、高性能光ファイバ試験機「AQ7275 OTDR」があります。この製品は、幹線系(大都市間)からアクセス系までの敷設工事や保守作業に幅広く対応できるハイエンド機種ですが、アクセス系回線の保守作業を行うお客様からは、より小さくて軽い、現場で使いやすい製品が求められています。
当社はこうしたお客様のご要望に応え、小型・軽量・低価格で、保守現場で必要とされる機能を搭載したマルチフィールドテスタ「AQ1200 OTDR」シリーズを2010年2月に発売し、ラインアップを拡張してきました。これまでに、測定できる波長やダイナミックレンジ※の異なる3機種を発売していますが、このたび新たに2機種をラインアップしました。
- ※ダイナミックレンジ:識別可能な信号の最小値と最大値の比率。光ファイバ測定においては、ダイナミックレンジの値が大きいほど、長距離の測定が可能。
製品の特長
マルチフィールドテスタ「AQ1200 OTDR」シリーズは、小型(A5サイズ)、軽量(約1キログラム)の筐体に、光ファイバの保守現場で必要とされる機能を搭載しています。「AQ7275 OTDR」と比べると、大きさで約2分の1、重さで約3分の1になっており、小型・軽量で持ち運びやすいことが特長です。
また、通信局から光ファイバを分岐して、多数のユーザをつなぐPON(Passive Optical Network)システムにも対応しています。PONシステムの測定では、光ファイバの分岐点で起こる光信号の 大きな減衰により、測定波形が変形することがあります。こうした状況下でも、それが光ファイバの障害によるものか、減衰によるものかを判別して測定できるので、障害箇所の特定を正確に行うことができます。
今回発売した2機種の特長は下記のとおりです。
- 3波長に対応しアクセス系回線の敷設工事から保守作業までを1台でカバー
「AQ1200E」「AQ1205E」は、敷設工事で使用する通信回線で用いる光信号の2波長と、保守作業で使用する通信回線で用いる光信号の波長とは異なる1波長の計3波長に対応し、アクセス系(通信局と加入者間)回線の敷設工事から保守作業までを一台でカバーします。
また保守波長の光ポート内部には通信回線で用いる光信号の波長をカットするフィルタを内蔵しており、運用中回線の通信品質に影響を与えず、OTDR測定においても通信回線の影響を受けることなく保守作業を行うことができます。 - 多分岐化が進むPONシステムでも正確な測定が可能
「AQ1205E」はダイナミックレンジが広く、またスプリッタ(分岐)後の波形収束性能が強化されており、多分岐化が進むPONシステムにおいても正確な測定を可能にします。
機種 | AQ1200E | AQ1205E |
---|---|---|
用途 | 敷設作業/保守作業 | 敷設作業/ 保守作業 |
対応波長 | 1310/1550,1625 ナノメートル |
1310/1550,1625 ナノメートル |
ダイナミックレンジ | 32/30, 30デシベル | 40/38, 33デシベル |
- 対応波長について -
光ファイバによる通信回線で使用できる波長については、電気通信に関する国際標準の策定機関である国際通信連合(ITU)によって定められています。
- 保守用の波長 1625/1650ナノメートル
- 通信用の波長 1310/1490/1550ナノメートル
通信サービスや保守で使用される波長は、国や地域、通信事業者によって異なるため、それぞれの条件に 合わせた機種を選択する必要があります。
主な市場
通信事業者の保守担当、光ファイバの敷設工事会社および保守会社の現場作業
用途
光ファイバの敷設作業・保守点検作業における検査、評価
販売目標(AQ1200シリーズ合計。海外での販売を含む)
- 2012年度 2,500台
- 2013年度 3,000台
以上