プレシジョンパワーアナライザ WT3000E (販売終了)

お知らせ: この製品は 2021年3月31日に販売を終了しました。 以下の代替製品をご覧ください。

地球規模にて環境保全の活動が求められている現在、特に、電気エネルギーをより効率的に利用する取り組みとともに、風力や太陽光など、再生可能エネルギーによる発電が推進されています。モーター駆動に欠かせないインバータや、太陽光発電で不可欠なパワーコンディショナーなどの電力変換機器の効率は、すでに95%以上の大変高いレベルに達しており、更なる効率改善のためには、小数点以下のわずかな改善を積み重ねる必要があります。

世界トップクラスの測定精度「トータル±0.04%」を持つWT3000Eは、その効率のわずかな改善を確認できる高精度電力測定器です。

LCA

従来機種と比べて、エネルギー、CO2、NOx、SOxを、約19%削減
ライフサイクルアセスメント結果

WT3000Eは、従来モデルWT3000のパフォーマンスを継承してます。電気エネルギーおよび効率測定だけでなく、電力校正のリファレンスとして使用できます。
また、高調波測定と電圧変動/フリッカ測定、あるいは待機電力測定に関わるIEC規格の要求に対して、試験装置として活用できます。
さらに、30Aと2A入力エレメントを混載可能とすることで、そのアプリケーションの幅を広げるとともに、コストメリットをご提供します。

YOKOGAWAは、WT3000Eにより、電力変換器・照明・モーターおよび家電など幅広い産業分野の研究開発や評価に携わる技術者の方々に対して、より高いレベルの測定精度と安定性のある電力測定ツールを提供してまいります。

高精度

世界トップクラスの測定精度で、多くのお客様に安心してご使用いただけます。

信頼性

測定精度とともに高い安定性によって、お客様の信頼をいただいております。

ソリューション

100年間に渡る探求と革新から、電力測定に関わる多種多様な課題に対して、お客様を問題解決へと導いてまいります。

30Armsの直接入力による世界トップクラスの高精度

従来のプレシジョンパワーアナライザ WT3000の電力確度を上回る、世界トップクラスの高精度電力計WT3000Eを発売しました。

30Arms

 

用途を広げる電流入力エレメント2種の混載モデル

2A入力エレメントと30A入力エレメントを混載することが可能となりました。WT3000E 1台で幅広い用途にご活用いただけます。

 

WT3000からWT3000Eの主な仕様変更点

  • 電力基本確度の向上(45Hz≦f≦66Hz)

30A入力エレメント

電圧/ 電流 0.01% of reading + 0.03% of range
電力 0.01% of reading + 0.03% of range*

2A入力エレメント

電圧/電流
(50mA/ 100mA/ 200mA/ 500mA/ 1A/ 2A レンジおよび外部電流センサ入力)
0.01% of reading + 0.03% of range
電流
(5mA/ 10mA/ 20mAレンジ)
0.03% of reading + 0.05% of range
電力
(50mA/ 100mA/ 200mA/ 500mA/ 1A/ 2Aレンジ および外部電流センサ入力の設定時)
0.01% of reading + 0.03% of range*
電力
(5mA/ 10mA/ 20mAレンジの設定時)
0.05% of reading + 0.05% of range

*外部電流センサ入力50mVレンジの設定時は、0.01% of reading + 0.01% of rangeを加算

  • 2A入力エレメント/30A入力エレメントの混載に対応
  • トリガモードにOFFを追加し、波形表示の時のデータ更新を高速化
    ※詳細な仕様の違いについてはお問い合わせください。
 

測定対象を選ばない製品仕様

高精度 & 広帯域 & 同時測定

電力基本確度

± (0.01% of reading + 0.03% of range)

測定帯域

DC、0.1Hz~1MHz

入出力間データ、および通常測定値&高調波成分の同時測定

 

低力率誤差

力率誤差の影響 0.03% of S (cosφ=0の時、φは電圧と電流の位相差)
*Sは皮相電力の読み値

 

電流レンジ

直接入力

0.5/ 1/ 2/ 5/ 10/ 20/ 30 [A] *1
5m/ 10m/ 20m/ 50m/ 100m/ 200m/ 500m/1/2 [A] *1

外部センサ入力

50m/ 100m/ 200m/ 500m/ 1/ 2/ 5/ 10 [V]

 

電圧レンジ

15/ 30/ 60/ 100/ 150/ 300/ 600/ 1000 [V]

 

データ更新周期:50m~20[sec]

有効入力範囲:1%~130%

二台同期測定

PCカードスロット搭載

*1 :30Aエレメントと2Aエレメントは混載可能
 

リアパネル

リアパネル

 

高精度、高安定度を示す基本特性(例)

高精度、高安定度を示す基本特性(例)

 

クレストファクタ (波高率) 6に対応

国際規格 IEC 62018 をはじめとする多くの規格で、情報機器などに要求されているクレストファクタ5以上での測定が容易にできます。

クレストファクタ:波形の波高値(ピーク値)と実効値の比で定義され、波高率とも呼ばれます。

クレストファクタの説明

弊社電力測定器で測定可能なクレストファクタを検討する場合は、下記の式にて検討ください。
*ただし、測定信号のピーク値が、最大許容入力以下であること

クレストファクタ式

*電力計の仕様におけるクレストファクタとは、定格入力時に何倍までの波高値まで入力できるかで規定されます。
したがって、測定信号のクレストファクタが機器の仕様(定格入力でのクレストファクタ規定値)より大きい測定信号であっても、
測定信号に対して、より大きい測定レンジを設定することで仕様以上のクレストファクタを持つ信号の測定が可能です。
例えば、CF=3の設定でも、測定値(実効値)が測定レンジの60%以下の場合、CF5以上の測定が可能です。
また、CF=3の設定では、最小有効入力(測定レンジの1%)の場合、CF=300の測定が可能です。

シンプルでカンタン、見やすいWT3000Eの操作

「レンジ設定をよりシンプルに」、「表示したいパラメータ設定をより快適に」 というご要望に応える便利な機能と簡単な操作を実現しました。

“レンジ設定をもっとシンプルに”
ダイレクトキーによるレンジ設定

レンジ表示に7セグメントの緑色LEDを採用し、電圧,電流の設定レンジを常に確認できます。
レンジ切り替えは上下キーを使って簡単にできます。また、AUTOレンジを使えば入力信号により自動的にレンジを変更できます。

ダイレクトキーによるレンジ設定
 

“カーソル移動や数値設定をより快適に”
WTシリーズで培った十字キーによる直感操作

画面上のカーソルを上下左右に移動したり、スケーリ ング比などを直感的かつスムーズに設定できます。

十字キーによる直感操作
 

“実験ごとに見たいデータが変わる。だけど、設定が大変”
アイテムページで表示設定

数値表示画面上に測定値を表示するアイテムページを9枚用意しました。
それぞれにお好みの測定項目を表示設定しておくことにより、表示項目群を簡単に一括切り替えできます。
注:波形,トレンド表示など、数値表示以外の表示はアイテムページに設定できません。

複数のアイテムページをカンタンに切り替え

 

充実した標準装備

“数値だけでなく、波形も見たい”
多彩な表示形式

数値データに加え、入力信号の波形を表示できます。
波形確認のために、波形観測機器を接続する必要はありません。*1
また、 高度演算機能オプションを搭載すれば、ベクトル表示*2やバーグラフ表示ができ、測定データを視覚的に認識できます。
インフォメーション表示により、電圧レンジ、 電流レンジ、フィルタ、スケーリング値を一括表示できるので、設定内容を容易に確認できます。

*1: 波形を忠実に再現できるのは、およそ10kHzまでです。
*2: WT3001単相モデルを除く。/G6高度演算機能オプションが必要。

多彩な表示形式
 

“データ変動が速いので、高速で測定したい”
50msのデータ更新周期

刻々と変化する測定対象を細かく捉えることができます。
一方、1Hz以下の低周波の信号にも対応するため、5秒,10秒,20秒の低速更新レートも搭載しています。

※ WT3000Eでは、データ更新レートによって2つの演算方式を切り替えています。
詳しくはカタログ(「解説」の項)を参照ください。

 

“計器損失などを補正したい”
結線/効率/2電力計法の補正機能

3つの補正機能を搭載しました。

  • 結線補正:各エレメントの,電力計への入力回路に起因する測定器損失を補正します。
  • 効率補正:インバータ機器などの入出力間の効率演算時に、二次側に接続された電力計の計器損失が一次側の電力測定値に及ぼす影響を補正します。
  • 2電力計法補正: 2電力計法の測定では、中線に電流が流れた場合に誤差が発生します。本機能は三相3線(3V3A)結線をして2電力計法で測定をするとき、中線に流れる電流を演算して、電力測定値に補正値を加算します。
 

“見たい測定項目が設定にない。どうしたら・・・”
ユーザー定義ファンクション

電力計測では、電圧、電流、電力などの基本的な測定項目以外にも、目的に合わせて演算したいデータがあります。たとえば、太陽光発電のパワーコンディショナの変換効率を求めたり、あるいはDCACコンバータの変換効率などです。
また、最近ではこのような変換効率だけでなく、入力出力間での電力損失* 、電圧直流リプル率* 、電流直流リプル率*なども演算したいケースもあります。このような各種項目は、ユーザー定義ファンクションの演算式を用いることで、係数を掛けたり、演算式を少し変えることもできます。目的に合わせて自由に加工できるので便利です。演算式は最大20個設定できます。

電力計WT3000Eユーザ定義演算機能

*演算式は下記の定義にて算出。演算式が異なる場合にはご注意ください。

電圧直流リプル率 F1=(UPPK(E1)-UMPK(E1))/2U(E1,ORT)*100

UPPK(E1)

・・・

電圧ピーク値(プラス側)

UMPK(E1)

・・・

電圧ピーク値(マイナス側)

U(E1,ORT)

・・・

直流電圧値(平均値)

電流直流リプル率 F2=(IPPK(E1)-IMPK(E1))/2I(E1,ORT)*100

IPPK(E1)

・・・

電流ピーク値(プラス側)

IMPK(E1)

・・・

電流ピーク値(マイナス側)

I(E1,ORT)

・・・

直流電流値(平均値)

電力損失 F3=P(E5,ORT)-P(E1,ORT)

P(E5,ORT)

・・・

出力電力

P(E1,ORT)

・・・

入力電力

※E1はエレメント1(入力直流信号)、E5はPΣA(出力交流信号)になります。
※入力信号の電圧、電流モードはDCモードに設定

 

“効率演算式の入力はもっと簡単にならないかな・・・”
効率演算ファンクション

インバータやパワーコンディショナにおける入出力効率を測定できます。
演算式は4つまで設定でき、測定している入力、あるいは出力のエレメントを選択するだけで簡単に演算し表示できます。

効率演算ファンクション
 

“電流、有効電力以外の積算はできるの?”
充実した積算機能

  • 有効電力、電流、皮相電力、無効電力
    従来からの有効電力積算(WP)、電流積算(q)に加え、新機能として皮相電力積算(WS)、無効電力積算(WQ)を搭載しました。

  • 高精度積算のためのワイドな有効入力範囲
    有効入力範囲は測定レンジの1%から130%までとワイドです。
    大電流から待機時の微小電流まで、電流値が大きく変動する測定対象において、より高精度な積算測定ができます。

  • 平均有効電力(ユーザー定義ファンクションを使用)
    積算区間内における平均の有効電力を算出できます。
    電力値が変動する間欠制御式機器の消費電力評価に有効です。
平均有効電力値式
平均有効電力グラフ
 

標準装備

ストア機能

電圧、電流や電力などの測定データを約30MBの内部メモリにストアできます。ストアした各種データは、PCカードまたはUSBストレージ*に、バイナリ形式またはASCII形式で保存できます。
*USBポート(周辺機器)を利用する場合には/C5オプションが必要です。

データ更新周期ごとに各種測定アイテムをストアできます。必要な測定アイテムのみストアできるので、内部メモリ容量を節約できます。

ASCII形式で保存されたファイルは「Excel」などの汎用アプリケーションソフトウェア上で開くことができ、グラフ表示もできます。

※バイナリ形式で保存したデータは弊社提供の専用ソフトウェアでのみデータ確認ができます。ご注意ください。

ストア機能を使うためにはバージョンアップが必要です。
バージョンアップの方法については正式発売時に弊社営業までご相談ください。

データ更新
USB
Excelでの表示例
 

サイクルバイサイクル測定

  • 系統連系試験、モータ評価試験などに有効

系統連系への接続時の電源変動、あるいはモータ評価*でのモータの負荷変動時など高速に変動する現象を詳細に捉えたいときにサイクルバイサイクル測定が有効です。
1周期(サイクル)ごとの電圧・電流・有効電力等を測定し、そのデータを時系列にリスト化して表示できます。0.1Hz~1000Hzまでの周波数の入力を測定できます。
また、最大3000回のデータをCSV形式で保存できます。

*モータ評価機能オプション (/MTR) が必要

サイクルバイサイクル測定

システムの例

*WT3000E本体では数値表示のみです。WTViewerソフトウェア760121を使うとグラフ表示できます。

 

“測っているのは線間電圧。だけど相電圧をみたい”
デルタ演算

三相3線結線にて測定した2つの線間電圧(緑色矢印)・相電流をもとに、もう1つの線間電圧(青色破線矢印)・相電流をそれぞれ演算したり、三相3線(3V3A)結線(および青色破線矢印)にて測定した線間電圧をもとに、相電圧(赤色矢印)を演算できます。
モータなど中線がない測定対象において、三相3線(3V3A)結線により相電圧を推定する場合に有効です。

デルタ演算

 

豊富なオプション機能

さらに便利で高度な電力評価お客様が必要なオプションだけを自由に組み合わせて選べるオプション-フリーセレクト方式を採用しました。少ないコストで最大のパフォーマンスを得られます。

“すべての入力の周波数を確認したい”
周波数測定追加(/FQ)

標準で搭載されている2チャネル分の周波数測定に加え、オプションで6チャネル分の周波数測定機能を追加できます。これにより8チャネル分、つまり、入力エレメント1~4を搭載した場合でも電圧、電流の全ての周波数を測定できます。
機器の入出力での電圧電流の周波数測定や、複数の測定対象の電圧電流の周波数を同時に測定したい場合に必要です。

 

“測定値をアナログ信号で他の機器に出力したい”
D/A出力(/DA)

  • 20チャネル
    測定値をリアパネルのD/A出力コネクタから±5V FSの直流電圧に変換して出力できます。
    20チャネルまでの測定項目を同時に出力可能です。
    4入力エレメント搭載時でも各入力エレメントごとに5種類の測定値をアナログ(D/A)出力できます。

  • D/Aズーム
    D/A出力は通常、測定レンジに対して-5~5V*の範囲でスケーリングして、直流電圧を出力します。
    したがって、ほぼ一定な信号の変動を観測しているとき、測定レンジの定格値のD/A出力が±5Vになると、変動を詳細に観測できない場合があります。
    たとえば100Vの測定電圧が±3Vの間で変動し、その様子を観測している場合です。
    このような問題を解決するため、D/Aズーム機能を搭載しました。この機能は、入力信号の任意の範囲をUpper、Lowerとして、D/A出力の-5V~5V*にスケーリングできるので、入力信号の変動を拡大してレコーダやロガーで観測できます。

    *周波数測定など一部機能では0~5V
 

“ワンタッチで画面データを出力したい”
内蔵プリンタ(/B5)

WT3000Eをラックマウントした場合でも使いやすい、前面プリンタを採用しました。データや波形のメモとして利用できます。

内蔵プリンタ

 

  • オートプリント機能
    オートプリント機能は、内蔵プリンタ*に印字するインターバル(間隔)時間を設定し、測定値を自動的に印字出力する機能です。また、スタート/ストップ時刻の設定もできるので、希望する時間帯のデータ記録もできます。必要な測定アイテムだけを選択して、印字できます。

    *内蔵プリンタは/B5オプションです。
オートプリント機能:測定アイテムの設定画面
測定アイテムの設定画面
 

“もっと大画面でデータをみたい”
VGA出力(/V1)

モニタに接続して、大画面で数値データや波形イメージを表示できます。
たくさんのデータを別置きの画面で同時に確認したり、離れた場所でのデータ確認に便利です。

 

RS-232通信(/C2)

 

イーサネット機能(/C7)

100BASE-TXおよび10BASE-Tに準拠しており、通信経由でのデータのやり取りが可能です。
FTPサーバを使ってのファイル転送や 、FTPクライアント(ネットワークドライブ)、LPRクライアント(ネットワークプリンタ)、Eメール送信(SMTPクライアント機能)に対応します。

イーサネット機能

それぞれの工場に設置されたWT3000Eの測定データを、オフィスで一括して収集できます。
現場で測定値を読み取ったりセーブするために、オフィスと工場間を往復する必要はありません。

電子メール送信機能

一定間隔,あるいは指定時刻に電子メールでデータを送ることができます。
データの監視,モニタに便利です。

ネットプリント機能

WT3000Eの画面をネットワークプリンタに出力できます。

※WT3000Eは内蔵HDDを搭載できません。
 FTPサーバ機能は、WT3000EにPCカードあるいはUSBストレージが接続されている場合に使用可能です。

 

周辺機器用USBポート搭載 (/C5)

USBポート(周辺機器、タイプAコネクタ)を搭載できます。本体内部にストアした電圧、電流、電力などの各種データを、USBストレージ機器などの周辺機器に、バイナリ形式あるいはASCII形式で保存できます。
また、ユーザー定義演算式の入力に便利なキーボードも接続できます。

 

PC接続用USBポート搭載 (/C12)

本体背面に搭載されるUSBポート(タイプBコネクタ)は、WT3000EとPC間のデータ通信を可能にします*1
また、本オプションを搭載した製品と、WTViewer760121(別売)のUSB通信機能を使えば、USB通信経由でデータ収集ができます。

*1:USB通信を行うためにはUSBドライバーが必要です。USBドライバーは弊社ホームページから入手可能です。
*:PC接続用のUSBケーブルは付属していません。

 

高度演算機能(/G6)

高度演算機能(/G6:オプション)は、インバータ評価のキャリア周波数確認に欠かせない高調波測定、インバータノイズ成分を確認できるFFT演算、電圧・電流の瞬時値を演算して電力波形を確認できる波形演算、取得したサンプリングデータをそのまま保存できる波形サンプリングデータ保存機能、および高調波フリッカ規格試験である IEC/JIS規格対応に対応した試験を実施できる機能を搭載できます。

通常測定モード時高調波測定

当社従来製品では同時測定ができなかった、通常測定データと高調波測定データをWT3000Eでは同時に測定できます。
WT3000Eではモード切替なしに、ひずみ率(THD)を測定でき、トータル電圧、電流とともにひずみ率を同時に確認できます。
また、入力エレメント間の位相角も演算できます。

 
広帯域高調波測定モード

0.1Hz~2.6kHzまでの高調波測定
通常測定モードの高調波測定に加え、広帯域の高調波測定が可能です。
基本周波数が数百Hzの電源や低周 波インバータの高調波測定に有効です。
本オプションを搭載すれば、高調波測定の基本波周波数0.1Hz~2.6kHz*1の範囲で最大100次まで*2の高調波測定ができます。

*1:0.1~10Hzは外部からのサンプリングクロックを使用
*2:75Hz~1kHzは50次まで,1kHz~ 2.6kHzまでは最大20次まで

IEC高調波測定モード

国際規格、JIS規格に対応した試験が可能
最新のIEC高調波規格で要求される、ウインドウ幅が50Hz(10波)/60Hz (12波)に対応したモードです。
高調波/フリッカ測定ソフトウエア761921を使用して、IEC 61000-3-2、IEC61000-3-12、および、国内のJIS C 61000-3-2:2005に対応できます。
また、電圧変動/フリッカ測定(/FL)を搭載すればIEC6100-3-3、IEC61000-3-11規格にも対応できます。

国際規格、JIS規格に対応した試験が可能
 
FFT演算モード

高調波成分、ノイズ成分測定。より詳しく周波数分析
測定した電圧・電流波形データのFFTを、2つ同時にできます。
ノイズ測定、キャリア成分信号の確認もできます。
高分解能な1Hz分解能での表示、あるいは、更新レートを重視した10Hz分解能から選択可能。
最大100kHzまでのFFT解析ができます。

FFT演算モード
 
波形演算モード

瞬時電力波形を演算し表示
波形の演算を同時に2つできます。
電圧波形と電流波形を掛け算する演算式を設定すれば、
瞬時電力波形を画面上で確認できます。
※それぞれのモードを組み合わせての測定はできません。

波形演算モード
波形サンプリングデータ保存

波形データを詳細に確認可能
200kサンプリングで捕捉した電圧、電流波形の全データ、およびMATH演算波形、FFT演算波形をPCカードやUSBメモリ(オプション)に保存できます。
保存する形式はCSV、WVF形式の選択ができます。

 

電圧変動/フリッカ測定(/FL)

  • IEC規格試験に対応

    IEC61000-3-3 Ed 2.0 : 2008(電圧変動/フリッカ測定、/FLオプション)

IEC, JIS規格試験に対応

 

WT3000EによるIEC高調波フリッカ測定の規格対応   →詳細

 

高調波/フリッカ測定ソフトウェア 761921  →詳細

PCデータ収集, WTの制御ができます。 IEC規格対に応した高調波試験、
および電圧変動/フリッカ測定試験を1つのソフトウェアで対応できます。

高調波/フリッカ測定ソフトウェア 761921
 

/MTR オプション

  • より高精度なモータ効率,トータル効率の算出
    インバータ/モータの評価に欠かせない機能です。

  • モータ効率/トータル効率測定
    トルク信号および回転速度信号(ともにパルスまたはアナログ信号のいずれかを選択可能)をWT3000Eに直接入力できます。電圧,電流,電力との同時測定ができるので、メカニカルパワー,同期速度,すべり,モータ効率,トータル効率を演算し表示できます。
motor

WT3000Eが真価を発揮するおもな測定例

モータ・インバータの効率測定

  • 高精度な効率測定のための入出力間同時測定
    最大4入力エレメント搭載できるので、入出力を1台で同時に測定できます。より高精度な効率試験ができます。

  • PWM電圧波形の正確な基本波測定
    インバータ駆動モータの評価では、電圧の基本波は重要な測定パラメータの1つです。正弦波変調のPWM波形の評価では、電圧MEAN値(平均値整流実効値校正)による測定値が電圧の基本波成分に近いということから、慣例的に電圧測定にはMEANの値を使う場合があります。
    しかし、近年、モータドライブ技術が複雑化し、純粋な正弦波変調以外のPWMが増えてきたため、電圧MEAN値が電圧基本波と大きく異なるケースが増えてきました。
    WT3000Eでは、オプションの高調波測定機能により、有効電力などの通常測定値と正確な基本波成分、あるいは各高調波成分を,測定モードを変更せずに同時測定できます。

  • 中線がない場合の相電圧測定
    デルタ演算機能により、中線がない測定対象を三相3線(3V3A)結線で測定し、各相電圧を演算できます。

  • 高周波の高調波測定 (/G6オプション)
    近年、モータの基本周波数は高速になってきています。WT3000Eでは基本波周波数2.6kHzまでの信号に対して高調波測定ができます。

インバータの効率測定図

30Aを超える大電流測定は、2A入力エレメントと電流センサCTシリーズまたは、電流センサユニット751522/751524*を組み合わせて測定できます。
*751522/751524は751521/751523の後継機種です。

関連アプリケーション
EVやパワーコンデショナに代表される電力変換技術
コンバータにおける三相入力からDCバスへの変換、およびインバータにおけるDCバスから三相出力への変換効率測定では、高精度かつ測定の同時性が要求されます。

 

照明器具の評価

  • 電圧、電流、およびTHD(ひずみ率)を同時測定
    照明試験などでは、電圧と電流の測定とともに電力品位を示すパラメータとしてTHDを測定することが多くなっています。制御方式の複雑化に伴い電圧、電流波形のひずみが多くなってきているためです。 当社従来製品では、電圧、電流、電力測定とTHD*測定時には、測定モードの切り替えが必要でした。
    製造ラインでの出荷検査ではその切り替え時間のため、作業時間を短縮できない、または測定の時間的な同時性が保てないなどの問題がありました。

    WT3000Eは電圧、電流と同時にTHDを測定可能なので、このような不便さを解消し機器の特性や変動をより高精度、かつスピーディに測定できます。
照明器具の評価図

*THD:Total Harmonic Distortionの略。ひずみ率のこと。
*照明試験では発熱の影響により消費電力や電力変換効率が時間とともに変動するため、測定値および効率の値が安定しない場合があります。ご注意下さい。

ランプ電流測定

ランプ電流は蛍光管内を流れているため、通常は直接測定できません。
二次電流および陰極電流を測定し、それらの瞬時値の差をデルタ演算機能で演算させることで、ランプ電流を表示できます。

関連アプリケーション
UPS、パワーコンディショナなどの系統連結される機器の電力品質評価

 

パワーコンディショナの変換効率測定

  • 直流/交流の変換効率測定
    太陽光発電, 風力発電などの新エネルギーでは、パワーコンディショナを使ってエネルギーを変換します。これらの直流信号,交流信号,入出力変換効率を高確度で測定できます。

パワーコンディショナ

直流/交流の変換効率測定

 

携帯電話の消費電力測定

携帯電話/バッテリー/電池駆動機器などの消費電力を測定できます。
5mAレンジからの微小電流レンジと電流,電力積算機能を使って、機器の消費電力を低減させるためのさまざまな動作を高精度で評価できます。
電池を長持ちさせるための制御方式の検討,比較に威力を発揮します。

主な特長
  • 5mAからの電流レンジ
  • 携帯電話のモードを切り替えたときの消費電力量を確認(積算機能を使用)
  • トレンド表示機能を使い,消費電力の時間的変動を視覚的に確認
  • 電流波形の簡易確認
  • Null機能によるオフセット値のキャンセル

携帯電話の消費電力測定

 

トランスの高精度測定

  • 低力率でも高精度測定
    WT3000Eでは、力率誤差を当社従来機種から大幅に改善(約3倍の確度アップ)しました。
    トランスなどの低力率付近での測定精度を改善し、有効電力値をより高精度に測定できます。

  • RMSとMEANを同時測定
    RMS値(真のRMS値)とMEAN値(平均値整流実効値校正)の同時測定ができ、コレクティッドパワー(Pc)測定などのトランス評価規格に準じた測定を実現できます。

    *ユーザー定義ファンクションを使って Urms/Umean/Irms/Imean/P の5項目のうち最大4項目を同時に測定できます。

  • 相電圧の確認
    デルタ演算機能でスター-デルタ変換、デルタ-スター変換が可能です。
    例えばデルタ結線にて、結線の変更なしに線間電圧と同時に相電圧を確認できます。
 

電力校正用基準器

  • 電力基本確度=0.04%
    WT310/WT330シリーズなどの汎用電力測定器の社内校正用の標準器として使用できます。

  • ベストコンディションプラン
    校正周期ごとに診断/調整/校正を実施します。保証期間中の故障は修理を実施し、状況により有寿命部品の予防保全を実施します。
標準室
 

機器の高調波の測定

  • EN61000-3-2に適合した高調波測定
    EN61000-3-2: 2009に適合した高調波測定が可能です(/G6が必要)。
    便利なアプリケーションソフトも発売予定です。

  • 1kHzで50次までの高調波測定
    基本周波数が高周波化する航空機の機器などの高調波評価に有効です(/G6が必要)。

  • 4入力エレメントの高調波測定
    各相の高調波ひずみ率の違いなども観測できます(/G6が必要)。

  • 相間の位相角測定
    入力エレメント1の電圧基本波に対する、入力エレメント2または3の電圧基本波の位相角が求められます。
    また、入力エレメント1の電圧基本波に対する、入力エレメント1または2または3の電流基本波の位相角を求められます(/G6が必要)。
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