地球規模にて環境保全の活動が求められている現在、特に、電気エネルギーをより効率的に利用する取り組みとともに、風力や太陽光など、再生可能エネルギーによる発電が推進されています。モーター駆動に欠かせないインバータや、太陽光発電で不可欠なパワーコンディショナーなどの電力変換機器の効率は、すでに95%以上の大変高いレベルに達しており、更なる効率改善のためには、小数点以下のわずかな改善を積み重ねる必要があります。
世界トップクラスの測定精度「トータル±0.04%」を持つWT3000Eは、その効率のわずかな改善を確認できる高精度電力測定器です。
従来機種と比べて、エネルギー、CO2、NOx、SOxを、約19%削減 |
WT3000Eは、従来モデルWT3000のパフォーマンスを継承してます。電気エネルギーおよび効率測定だけでなく、電力校正のリファレンスとして使用できます。
また、高調波測定と電圧変動/フリッカ測定、あるいは待機電力測定に関わるIEC規格の要求に対して、試験装置として活用できます。
さらに、30Aと2A入力エレメントを混載可能とすることで、そのアプリケーションの幅を広げるとともに、コストメリットをご提供します。
YOKOGAWAは、WT3000Eにより、電力変換器・照明・モーターおよび家電など幅広い産業分野の研究開発や評価に携わる技術者の方々に対して、より高いレベルの測定精度と安定性のある電力測定ツールを提供してまいります。
世界トップクラスの測定精度で、多くのお客様に安心してご使用いただけます。
測定精度とともに高い安定性によって、お客様の信頼をいただいております。
100年間に渡る探求と革新から、電力測定に関わる多種多様な課題に対して、お客様を問題解決へと導いてまいります。
従来のプレシジョンパワーアナライザ WT3000の電力確度を上回る、世界トップクラスの高精度電力計WT3000Eを発売しました。
2A入力エレメントと30A入力エレメントを混載することが可能となりました。WT3000E 1台で幅広い用途にご活用いただけます。
30A入力エレメント
電圧/ 電流 | 0.01% of reading + 0.03% of range |
電力 | 0.01% of reading + 0.03% of range* |
2A入力エレメント
電圧/電流 (50mA/ 100mA/ 200mA/ 500mA/ 1A/ 2A レンジおよび外部電流センサ入力) |
0.01% of reading + 0.03% of range |
電流 (5mA/ 10mA/ 20mAレンジ) |
0.03% of reading + 0.05% of range |
電力 (50mA/ 100mA/ 200mA/ 500mA/ 1A/ 2Aレンジ および外部電流センサ入力の設定時) |
0.01% of reading + 0.03% of range* |
電力 (5mA/ 10mA/ 20mAレンジの設定時) |
0.05% of reading + 0.05% of range |
*外部電流センサ入力50mVレンジの設定時は、0.01% of reading + 0.01% of rangeを加算
電力基本確度 |
± (0.01% of reading + 0.03% of range) |
測定帯域 |
DC、0.1Hz~1MHz |
入出力間データ、および通常測定値&高調波成分の同時測定 |
力率誤差の影響 0.03% of S (cosφ=0の時、φは電圧と電流の位相差)
*Sは皮相電力の読み値
直接入力 |
0.5/ 1/ 2/ 5/ 10/ 20/ 30 [A] *1 |
外部センサ入力 |
50m/ 100m/ 200m/ 500m/ 1/ 2/ 5/ 10 [V] |
15/ 30/ 60/ 100/ 150/ 300/ 600/ 1000 [V]
国際規格 IEC 62018 をはじめとする多くの規格で、情報機器などに要求されているクレストファクタ5以上での測定が容易にできます。
クレストファクタ:波形の波高値(ピーク値)と実効値の比で定義され、波高率とも呼ばれます。
弊社電力測定器で測定可能なクレストファクタを検討する場合は、下記の式にて検討ください。
*ただし、測定信号のピーク値が、最大許容入力以下であること
*電力計の仕様におけるクレストファクタとは、定格入力時に何倍までの波高値まで入力できるかで規定されます。
したがって、測定信号のクレストファクタが機器の仕様(定格入力でのクレストファクタ規定値)より大きい測定信号であっても、
測定信号に対して、より大きい測定レンジを設定することで仕様以上のクレストファクタを持つ信号の測定が可能です。
例えば、CF=3の設定でも、測定値(実効値)が測定レンジの60%以下の場合、CF5以上の測定が可能です。
また、CF=3の設定では、最小有効入力(測定レンジの1%)の場合、CF=300の測定が可能です。
「レンジ設定をよりシンプルに」、「表示したいパラメータ設定をより快適に」 というご要望に応える便利な機能と簡単な操作を実現しました。
レンジ表示に7セグメントの緑色LEDを採用し、電圧,電流の設定レンジを常に確認できます。
レンジ切り替えは上下キーを使って簡単にできます。また、AUTOレンジを使えば入力信号により自動的にレンジを変更できます。
画面上のカーソルを上下左右に移動したり、スケーリ ング比などを直感的かつスムーズに設定できます。
数値表示画面上に測定値を表示するアイテムページを9枚用意しました。
それぞれにお好みの測定項目を表示設定しておくことにより、表示項目群を簡単に一括切り替えできます。
注:波形,トレンド表示など、数値表示以外の表示はアイテムページに設定できません。
数値データに加え、入力信号の波形を表示できます。
波形確認のために、波形観測機器を接続する必要はありません。*1
また、 高度演算機能オプションを搭載すれば、ベクトル表示*2やバーグラフ表示ができ、測定データを視覚的に認識できます。
インフォメーション表示により、電圧レンジ、 電流レンジ、フィルタ、スケーリング値を一括表示できるので、設定内容を容易に確認できます。
*1: 波形を忠実に再現できるのは、およそ10kHzまでです。
*2: WT3001単相モデルを除く。/G6高度演算機能オプションが必要。
刻々と変化する測定対象を細かく捉えることができます。
一方、1Hz以下の低周波の信号にも対応するため、5秒,10秒,20秒の低速更新レートも搭載しています。
※ WT3000Eでは、データ更新レートによって2つの演算方式を切り替えています。
詳しくはカタログ(「解説」の項)を参照ください。
3つの補正機能を搭載しました。
電力計測では、電圧、電流、電力などの基本的な測定項目以外にも、目的に合わせて演算したいデータがあります。たとえば、太陽光発電のパワーコンディショナの変換効率を求めたり、あるいはDCACコンバータの変換効率などです。
また、最近ではこのような変換効率だけでなく、入力出力間での電力損失* 、電圧直流リプル率* 、電流直流リプル率*なども演算したいケースもあります。このような各種項目は、ユーザー定義ファンクションの演算式を用いることで、係数を掛けたり、演算式を少し変えることもできます。目的に合わせて自由に加工できるので便利です。演算式は最大20個設定できます。
*演算式は下記の定義にて算出。演算式が異なる場合にはご注意ください。
電圧直流リプル率 F1=(UPPK(E1)-UMPK(E1))/2U(E1,ORT)*100 |
|||
※ |
UPPK(E1) |
・・・ |
電圧ピーク値(プラス側) |
UMPK(E1) |
・・・ |
電圧ピーク値(マイナス側) |
|
U(E1,ORT) |
・・・ |
直流電圧値(平均値) |
|
電流直流リプル率 F2=(IPPK(E1)-IMPK(E1))/2I(E1,ORT)*100 |
|||
※ |
IPPK(E1) |
・・・ |
電流ピーク値(プラス側) |
IMPK(E1) |
・・・ |
電流ピーク値(マイナス側) |
|
I(E1,ORT) |
・・・ |
直流電流値(平均値) |
|
電力損失 F3=P(E5,ORT)-P(E1,ORT) |
|||
※ |
P(E5,ORT) |
・・・ |
出力電力 |
P(E1,ORT) |
・・・ |
入力電力 |
※E1はエレメント1(入力直流信号)、E5はPΣA(出力交流信号)になります。
※入力信号の電圧、電流モードはDCモードに設定
インバータやパワーコンディショナにおける入出力効率を測定できます。
演算式は4つまで設定でき、測定している入力、あるいは出力のエレメントを選択するだけで簡単に演算し表示できます。
電圧、電流や電力などの測定データを約30MBの内部メモリにストアできます。ストアした各種データは、PCカードまたはUSBストレージ*に、バイナリ形式またはASCII形式で保存できます。
*USBポート(周辺機器)を利用する場合には/C5オプションが必要です。
データ更新周期ごとに各種測定アイテムをストアできます。必要な測定アイテムのみストアできるので、内部メモリ容量を節約できます。
ASCII形式で保存されたファイルは「Excel」などの汎用アプリケーションソフトウェア上で開くことができ、グラフ表示もできます。
※バイナリ形式で保存したデータは弊社提供の専用ソフトウェアでのみデータ確認ができます。ご注意ください。
ストア機能を使うためにはバージョンアップが必要です。
バージョンアップの方法については正式発売時に弊社営業までご相談ください。
系統連系への接続時の電源変動、あるいはモータ評価*でのモータの負荷変動時など高速に変動する現象を詳細に捉えたいときにサイクルバイサイクル測定が有効です。
1周期(サイクル)ごとの電圧・電流・有効電力等を測定し、そのデータを時系列にリスト化して表示できます。0.1Hz~1000Hzまでの周波数の入力を測定できます。
また、最大3000回のデータをCSV形式で保存できます。
*モータ評価機能オプション (/MTR) が必要
*WT3000E本体では数値表示のみです。WTViewerソフトウェア760121を使うとグラフ表示できます。
三相3線結線にて測定した2つの線間電圧(緑色矢印)・相電流をもとに、もう1つの線間電圧(青色破線矢印)・相電流をそれぞれ演算したり、三相3線(3V3A)結線(緑および青色破線矢印)にて測定した線間電圧をもとに、相電圧(赤色矢印)を演算できます。
モータなど中線がない測定対象において、三相3線(3V3A)結線により相電圧を推定する場合に有効です。
さらに便利で高度な電力評価お客様が必要なオプションだけを自由に組み合わせて選べるオプション-フリーセレクト方式を採用しました。少ないコストで最大のパフォーマンスを得られます。
標準で搭載されている2チャネル分の周波数測定に加え、オプションで6チャネル分の周波数測定機能を追加できます。これにより8チャネル分、つまり、入力エレメント1~4を搭載した場合でも電圧、電流の全ての周波数を測定できます。
機器の入出力での電圧電流の周波数測定や、複数の測定対象の電圧電流の周波数を同時に測定したい場合に必要です。
WT3000Eをラックマウントした場合でも使いやすい、前面プリンタを採用しました。データや波形のメモとして利用できます。
モニタに接続して、大画面で数値データや波形イメージを表示できます。
たくさんのデータを別置きの画面で同時に確認したり、離れた場所でのデータ確認に便利です。
100BASE-TXおよび10BASE-Tに準拠しており、通信経由でのデータのやり取りが可能です。
FTPサーバを使ってのファイル転送や 、FTPクライアント(ネットワークドライブ)、LPRクライアント(ネットワークプリンタ)、Eメール送信(SMTPクライアント機能)に対応します。
それぞれの工場に設置されたWT3000Eの測定データを、オフィスで一括して収集できます。
現場で測定値を読み取ったりセーブするために、オフィスと工場間を往復する必要はありません。
一定間隔,あるいは指定時刻に電子メールでデータを送ることができます。
データの監視,モニタに便利です。
WT3000Eの画面をネットワークプリンタに出力できます。
※WT3000Eは内蔵HDDを搭載できません。
FTPサーバ機能は、WT3000EにPCカードあるいはUSBストレージが接続されている場合に使用可能です。
USBポート(周辺機器、タイプAコネクタ)を搭載できます。本体内部にストアした電圧、電流、電力などの各種データを、USBストレージ機器などの周辺機器に、バイナリ形式あるいはASCII形式で保存できます。
また、ユーザー定義演算式の入力に便利なキーボードも接続できます。
本体背面に搭載されるUSBポート(タイプBコネクタ)は、WT3000EとPC間のデータ通信を可能にします*1。
また、本オプションを搭載した製品と、WTViewer760121(別売)のUSB通信機能を使えば、USB通信経由でデータ収集ができます。
*1:USB通信を行うためにはUSBドライバーが必要です。USBドライバーは弊社ホームページから入手可能です。
*:PC接続用のUSBケーブルは付属していません。
高度演算機能(/G6:オプション)は、インバータ評価のキャリア周波数確認に欠かせない高調波測定、インバータノイズ成分を確認できるFFT演算、電圧・電流の瞬時値を演算して電力波形を確認できる波形演算、取得したサンプリングデータをそのまま保存できる波形サンプリングデータ保存機能、および高調波フリッカ規格試験である IEC/JIS規格対応に対応した試験を実施できる機能を搭載できます。
当社従来製品では同時測定ができなかった、通常測定データと高調波測定データをWT3000Eでは同時に測定できます。
WT3000Eではモード切替なしに、ひずみ率(THD)を測定でき、トータル電圧、電流とともにひずみ率を同時に確認できます。
また、入力エレメント間の位相角も演算できます。
0.1Hz~2.6kHzまでの高調波測定
通常測定モードの高調波測定に加え、広帯域の高調波測定が可能です。
基本周波数が数百Hzの電源や低周 波インバータの高調波測定に有効です。
本オプションを搭載すれば、高調波測定の基本波周波数0.1Hz~2.6kHz*1の範囲で最大100次まで*2の高調波測定ができます。
*1:0.1~10Hzは外部からのサンプリングクロックを使用
*2:75Hz~1kHzは50次まで,1kHz~ 2.6kHzまでは最大20次まで
国際規格、JIS規格に対応した試験が可能
最新のIEC高調波規格で要求される、ウインドウ幅が50Hz(10波)/60Hz (12波)に対応したモードです。
高調波/フリッカ測定ソフトウエア761921を使用して、IEC 61000-3-2、IEC61000-3-12、および、国内のJIS C 61000-3-2:2005に対応できます。
また、電圧変動/フリッカ測定(/FL)を搭載すればIEC6100-3-3、IEC61000-3-11規格にも対応できます。
高調波成分、ノイズ成分測定。より詳しく周波数分析
測定した電圧・電流波形データのFFTを、2つ同時にできます。
ノイズ測定、キャリア成分信号の確認もできます。
高分解能な1Hz分解能での表示、あるいは、更新レートを重視した10Hz分解能から選択可能。
最大100kHzまでのFFT解析ができます。
瞬時電力波形を演算し表示
波形の演算を同時に2つできます。
電圧波形と電流波形を掛け算する演算式を設定すれば、
瞬時電力波形を画面上で確認できます。
※それぞれのモードを組み合わせての測定はできません。
波形データを詳細に確認可能
200kサンプリングで捕捉した電圧、電流波形の全データ、およびMATH演算波形、FFT演算波形をPCカードやUSBメモリ(オプション)に保存できます。
保存する形式はCSV、WVF形式の選択ができます。
PCデータ収集, WTの制御ができます。 IEC規格対に応した高調波試験、
および電圧変動/フリッカ測定試験を1つのソフトウェアで対応できます。
30Aを超える大電流測定は、2A入力エレメントと電流センサCTシリーズまたは、電流センサユニット751522/751524*を組み合わせて測定できます。
*751522/751524は751521/751523の後継機種です。
関連アプリケーション |
*THD:Total Harmonic Distortionの略。ひずみ率のこと。
*照明試験では発熱の影響により消費電力や電力変換効率が時間とともに変動するため、測定値および効率の値が安定しない場合があります。ご注意下さい。
ランプ電流は蛍光管内を流れているため、通常は直接測定できません。
二次電流および陰極電流を測定し、それらの瞬時値の差をデルタ演算機能で演算させることで、ランプ電流を表示できます。
関連アプリケーション |
携帯電話/バッテリー/電池駆動機器などの消費電力を測定できます。
5mAレンジからの微小電流レンジと電流,電力積算機能を使って、機器の消費電力を低減させるためのさまざまな動作を高精度で評価できます。
電池を長持ちさせるための制御方式の検討,比較に威力を発揮します。