SDGsの取り組みの推進や環境保全の観点から、自動車の電動化(EV化)が普及しており、カーボンニュートラルの目標達成への貢献が期待されています。
EV化を進めるための評価試験では、電力測定だけでなく波形測定も必要です。特に高効率化を目指すための計測においては、波形観測および多彩な解析が可能な波形測定器による評価試験が重要なファクターとなります。
完成された設備においては、大電流ケーブルの取り外しができない、あるいは取り外すために多くの時間と労力がかかるため、状況に応じて開閉型の電流センサーを選択せざるを得ない場合があります。スプリットコア型(クランプ型)の電流センサーには、一般的にばらつきが大きい、誤差が大きいなどのデメリットがあります。つまり、高精度な測定器を使用しても、測定値のばらつきが多ければ評価自体の信頼性に欠けてしまいます。
測定データの再現性を向上させ、測定値のばらつきを抑えることも評価の上では重要です。さらに、厳しいノイズ環境下での測定となるため、使用する測定器および測定用センサーには優れたノイズ耐性が求められます。
AC/DCスプリットコア電流センサーCT1000Sは、電流確度(50/60 Hz):±(0.2% of reading + 0.01% of full scale)、最大AC1000 A/DC1500 A*までの大電流が測定できます。開閉型の形状を採用しており被測定ケーブルを取り外すことなく大電流測定が可能です。
また、電流センサーは波形測定器だけでなく電力測定器も直接接続できるので、電力測定においても大変便利です。
* 動作環境温度 MAX+40℃ではDC1500 A(連続)
電流センサーの原理上、被測定ケーブルが電流センサーの1 次穴の中心を通っていることが理想となります。しかし、実際の測定では常に中心を通すことは難しく、ケーブルの位置による影響が測定値へ現れます。AC/DCスプリットコア電流センサーでは導体位置アジャスタを取り付けることにより、被測定ケーブルの軸位置を制限し、軸位置のずれによる影響を軽減します。
図1 センサー外観(左)と導体位置アジャスタ(右)
DL950のリアルタイム演算(/G03オプション)では、取り込んだ信号にさまざまな演算を施し、結果をリアルタイムにトレンド表示します。演算結果に対してトリガをかけたり、波形パラメータの自動測定やカーソル測定をすることも可能です。また入力信号および演算結果へのフィルター処理が可能です。さらにリアルタイム演算は、入力チャネルとは独立しているので、入力32チャネル + 16チャネルのリアルタイム演算結果を同時に表示・解析できます。
電力演算(/G05オプション)では、リアルタイムに1周期ごとの実効値、有効電力、積算電力、高調波など最大126種類の電力パラメータを演算し、測定する電圧、電流信号と、演算した電力パラメータのトレンド波形を、同時にリアルタイム表示します。電力パラメータのトレンド波形でトリガをかけることも可能です。
※電力演算オプションには、リアルタイム演算オプションが含まれています。
図2 単相電圧・電流波形と電⼒パラメータ演算の例
また、さらに高速な信号測定が必要な場合、ミックスドシグナルオシロスコープDLM5000を使って大電流の三相電圧電流の波形測定ができます。
DL950は、DL850E/EVの機能・仕様を大幅に改善し、タッチパネルによる直観的操作を可能した新時代のスコープコーダです。
200MS/s高速サンプルレート、最大8Gポイントメモリー、複数台同期で最大160CHが可能で、お客様の様々なニーズにお応えします。