エアコン・家電・OA機器・電源開発者向け過渡特性評価における効率的な波形解析

エアコン・家電・OA機器・電源開発者向け過渡特性評価における効率的な波形解析

背景

脱炭素社会の実現に向け、エアコン、家電、OA機器、電源では、消費電力削減が求められています。エアコン、家電、OA機器、電源などは生活必需品であり、使用頻度が高いため、消費電力が多くなる傾向にあります。そのため、製品開発においては、消費電力削減が重要なテーマとなっています。具体的には電力変換技術の開発や省電力化製品の開発が重要な役割を果たしています。
また、消費電力削減に加えて、エアコン、家電、OA機器、電源の評価においては定常状態における応答性や安定性だけでなく、過渡特性も重要な項目になります。電源や負荷の変化、入力信号が急変した際の出力過渡特性の確認は、製品の性能向上だけでなく、効率の向上にも繋がり、消費電力を抑えることができます。

課題

製品性能を確認する際には、電源や負荷の変化、入力信号の急変に対する出力過渡特性評価や出力変動評価は重要となります。この際、波形測定器を使用して電圧や電流を測定しますが、電圧実効値、電圧周波数、有効電力、無効電力、力率、効率などの電力パラメータも併せて測定・確認する必要があります。
また、同一時間軸上で複数の測定データを表示し、異常データなどを確認・監視したい要望も増えています。制御基板の評価では、主にインバータ制御の出力信号確認、電源電圧降下時の出力信号確認、制御信号と出力信号のタイミング確認など、さまざまな評価仕様項目シートに従いながら波形測定を行います。これらの評価は各種信号間のタイミング確認が重要となるため、入力信号に関わる各種パラメータを変更しながら制御基板の出力信号を複数測定し、データ測定後は表計算ソフトウェアによるデータ処理が必要になります。
さらに、測定項目の応答時間を確認する試験もあります。その際、測定回数が増えるとファイル数および長時間測定によるデータ量も同様に増え、表計算ソフトウェアによるデータ処理やグラフ作成にかかる時間が課題になります。データ測定後、すぐにソフトウェアを用いて応答時間が規格値内かどうか簡易比較を行うことで、評価時間を減らし、開発時間の短縮に貢献できます。

DL950、IS8000による課題解決

DL950

● 多彩なプラグインモジュール
● デュアルキャプチャ機能
● 電力パラメータ測定

IS8000

● 複数波形データの同一時間軸表示・比較
● ズーム表示による波形詳細確認
● 測定パラメータ応答時間と規格との簡易比較

DL950による提案

多彩なプラグインモジュール

高速・高精度の電圧測定から温度、加速度、ひずみ、周波数、ロジック、およびシリアル通信データの計測など、多彩なプラグインモジュールをご用意しています。DL950 本体の8つのスロットに装着し、お客様の測定ニーズに合わせて柔軟に構成を組むことができます。

図1 スコープコーダ DL950

図1 スコープコーダ DL950

図2 多彩なプラグインモジュール

図2 多彩なプラグインモジュール

デュアルキャプチャ機能

耐久試験などでは長時間のトレンドを把握するために、低速サンプリングによりデータ収集を行います。しかし突発的に発生する高速な過渡現象は、高速サンプリングで測定する必要があります。デュアルキャプチャ機能は、2つの独立したサンプリングを同時に実行することが可能です。
本機能はアプリケーションメニューに登録されており、簡単に設定、実行することが可能です。

図3 デュアルキャプチャ機能による波形取得のイメージ

図3 デュアルキャプチャ機能による波形取得のイメージ

電力パラメータ測定

電力演算(/G05オプション)は、電圧実効値、電圧周波数、有効電力、無効電力、力率、効率など、1系統で最大118種類の電力パラメータを演算し、電圧・電流波形と電力パラメータのトレンド波形を、同一時間軸上にリアルタイムで表示できます。
演算区間を入力信号のエッジに設定することで、1周期または半周期ごとに演算が可能なため、出力過渡時や出力変動時における過渡的な電圧・電流および電⼒パラメータの測定が可能です。また、演算した電力パラメータをトリガソースに設定できるため、瞬時的な電圧低下時や周波数変動時における電圧・電流・電力パラメータの変動も確認できます。さらに、電力パラメータに対しても、パラメータの自動測定、カーソル測定も可能です。

図4 単相電圧・電流波形と電⼒パラメータ演算の例

図4 単相電圧・電流波形と電⼒パラメータ演算の例

IS8000による提案

複数波形データの同一時間軸表示・比較

DL950で測定したデータは、オフライン解析にて各測定データの時間軸を合わせ表示することが可能です。同期方法には絶対時刻や波形の先頭、末尾に合わせる方法以外にも、各波形のトリガ位置の情報を元に基準時間軸を合わせることができます。トリガ位置を基準とし表示することで、トリガがかかった事象の前後関係を解析することなどに役立ちます。

図5 トリガ位置における2つのファイル表示例

図5 トリガ位置における2つのファイル表示例

ズーム表示による波形詳細確認

最大同時に4つまでズーム表示が可能です。波形の立ち上がり・立ち下がりなど複数箇所を同時に詳細確認が可能です。

図6 最大同時に4つのズーム表示例

図6 最大同時に4つのズーム表示例

測定パラメータ応答時間と規格との簡易比較

測定項目の応答時間が規格値内かどうか簡易比較できます。測定データCSVファイルと規格基準線CSVファイル(事前に作成が必要)の2つのファイルを読み込み、重ね合わせすることで規格基準内かどうかを簡易比較することができます*。

* 測定波形に再現性があることを前提とした波形比較になるため、簡易比較としております。お客様の環境にて事前の検証が必要になります。

図7 規格値との比較例

図7 規格値との比較例

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