自動車の電動化が加速する中で、完成車検査の現場では、車両に搭載される高電圧バッテリ、インバータ、駆動用モーター、DCDCコンバータ、OBC(車載充電器)などの電動コンポーネントの性能を、個別ではなく車両全体として統合的に評価することが求められています。これらのユニットは車両内の異なる位置に配置されており、駆動系・電源系・制御系にまたがる多チャネルでの同時計測が必要となります。特に、加減速や回生動作、外部給電などの動的条件下では、エネルギーフローの変動を正確に捉えるために、各測定ポイントを高精度に同期計測することが不可欠です。これに伴い、測定器を物理的に分散配置し、光ファイバーやIEEE1588、GPSなどの時刻同期技術を用いて、離れた場所にある機器間のデータを同一時間軸で取得・解析するニーズが急速に高まっています。
また、近年の完成車検査では、試験対象の多様化や測定精度の高度化に伴い、実車両を用いた長時間の実測評価の重要性が高まっています。こうした評価では、取得される膨大な波形データの中から、異常や注目すべき変動を効率よく抽出・分析することが求められます。これらの要求に応えるためには、柔軟なチャネル拡張性と高精度な時刻同期機能を備え、さらにデータ収集後の解析や活用までを視野に入れた効率的かつ統合的な計測ソリューションの導入が不可欠です。
自動車の電動化に伴い、車両内の複数の電動コンポーネントが異なる位置に配置されるため、測定ポイント間での高精度な同期計測が求められています。しかし、従来の計測器では、チャネル数が不足し、測定対象が増えると複数の機器を同期して計測することが難しくなるケースがありました。また、従来の同期方法では同期精度に限界がある場合もあります。さらに、長時間の実測評価においては、膨大なデータの中から異常や注目すべき変動を効率よく抽出・分析することが難しくなることがあります。
これらの課題に対して、測定器のチャネル拡張とIEEE1588やGPS時刻同期技術を活用し、分散配置された機器間での精度高い同期計測を実現することが1つの解決策となる可能性があります。また、収集したデータの解析や管理をスムーズに行うためには、データ管理や分析を行えるソフトウェアも求められています。
高速・高精度の電圧測定から温度、加速度、ひずみ、周波数、ロジック、およびCAN/CAN FD/LIN/SENTといった車載シリアル通信データの計測など、多彩なプラグインモジュールをご用意しています。SL2000本体の8つのスロットに装着し、お客様の測定ニーズにあわせて柔軟に構成を組むことができます。また、メインユニット1 台に対し、最大4台のサブユニットを光ファイバーコードで接続すると、最大160チャネルまで拡張が可能です。測定スタート/ストップ、トリガタイミング、サンプルクロックを同期できます。
図1 高速データアクイジションユニット SL2000
図2 多彩なプラグインモジュール
複数台同期では最大4台のサブユニットを接続可能です。ユニット間の測定開始/終了動作、時刻同期だけでなく、メインユニットからサブユニットの画面表示、制御が可能です。
そのため、1台のスコープコーダDL950ではチャネル数が足りないとき、DL950をメインユニットとし、最大4 台のSL2000(サブユニット)を光ファイバーケーブルで接続することにより、最大160チャネルのアナログ信号を測定が可能です。またSL2000本体にはディスプレイはありませんが、DL950(メインユニット)のディスプレイにSL2000(サブユニット)の計測波形を表示することができます。さらに、メインユニットであるDL950のディスプレイから、サブユニットであるSL2000の設定変更などのリモートコントロールも可能です。測定したデータは、統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8000で表示・解析、CSV変換などを行うことが可能です。
図3 光ファイバーケーブルによる同期計測
複数台の計測器を同期計測する場合、計測器同士が近ければ光ファイバーケーブルを使った複数台同期(/C50オプション)やEthernetで接続することで、IEEE1588 時刻同期(/C40オプション)を使うことが可能です。
しかし、測定対象が離れている場合には、光ファイバーケーブルやEthernetでは物理的に接続することが困難なケースもあります。そのようなときには、GPSインタフェース(/C35オプ ション)を活用した同期計測を行うことが可能です。さらに、GPSユニットを用いると、緯度や経度、速度、高度などの情報を収集することができるため、たとえば走行中の車両との相関 関係を評価することも可能です。
図4 IEEE1588による同期計測(上)
GPSによる同期計測(下)
アクイジションソフトウェアIS8000が提供するウィザード形式のガイダンスにより、すぐに測定を開始できます。
測定を開始するためにシステム構築、測定条件、表示、記録条件の4つのウィザード画面で簡単に設定できます。SL2000にはIS8002(1ライセンス)が同梱されます。(/SNオプションを除く)
ソフトウェア画面
SL2000は、 組み込みシステム向け絶縁オシロスコープです。システムラックに搭載可能です。
多チャネル計測、パソコンからの制御およびデータ記録に最適です。
DL950とSL2000を最大5台連結して同期させることが可能です。