再エネ向け分散型設備の高精度同期計測ソリューションの提案

再エネ向け分散型設備の高精度同期計測ソリューションの提案

1. 背景

再生可能エネルギーの導入が加速する中で、太陽光発電や風力発電に加え、蓄電池やEVとの連携といった多様なエネルギー源・負荷が複雑に接続された分散型電力システムが急速に拡大しています。これらのシステムでは、電力の発生・蓄積・消費がリアルタイムに変動するため、全体のエネルギーフローを高精度かつ同時に把握することが極めて重要です。
またスマートグリッドのように、各設備が地理的に離れた場所に設置されることも多く、拠点間での電力の流れや動作状態を同一時間軸で正確に把握・制御する必要があります。特に、天候変動や需要応答などによって発電出力や系統負荷が頻繁に変化する状況では、測定データをリアルタイムに収集・統合し、迅速に解析することが求められます。
しかし、従来の測定器では、測定ポイントごとの独立運用が主であり、広域にわたる設備全体の挙動を包括的に評価するには限界がありました。こうした課題に対し、IEEE1588やGPSによる高精度な時刻同期機能を活用し、離れた測定器同士のデータを高精度で同期できる計測技術へのニーズが高まっています。
さらに、システムの評価においては、収集された膨大なデータの中から異常兆候や性能劣化の兆しを迅速に検出・分析するための高度なデータ解析も不可欠となっており、計測から解析までを一貫して支援するソリューションの導入が鍵となります。

 

2. 課題

分散設置された再エネ設備の監視・評価においては、地点ごとに異なる計測機器を用いるケースが多く、システム全体の挙動を一元的に解析するには、機器間での高精度な時刻同期が大きな課題となります。特に、太陽光発電や風力発電は自然条件に強く依存しており、突発的な電力変動や異常を捉えるためには、広域にわたる複数ポイントをより正確に監視する必要があります。
しかし、従来の手法では、機器間の同期精度やチャネル数に限界があり、複雑なシステム全体を網羅的に監視・解析することが困難でした。今後は、IEEE1588やGPSを用いた高精度な時刻同期技術と、チャネル拡張性に優れた計測器を活用することで、広域・多拠点の再エネシステムの可視化と最適運用を実現することが期待されます。さらに、取得した大量のデータを効率的に管理・分析するためのソフトウェアの導入もあわせて求められます。

 

3. SL2000による課題解決

  • 多彩なプラグインモジュール
  • 同期運転によるチャネル拡張
  • IEEE1588、GPSによる同期計測
  • 直観的につかえるアクイジションソフトウェア

SL2000による課題解決

 

4. SL2000による提案

4.1 多彩なプラグインモジュール

高速・高精度の電圧測定から温度、加速度、ひずみ、周波数、ロジック、およびCAN/CAN FD/LIN/SENTといった車載シリアル通信データの計測など、多彩なプラグインモジュールをご用意しています。SL2000本体の8つのスロットに装着し、お客様の測定ニーズにあわせて柔軟に構成を組むことができます。
また、メインユニット1 台に対し、最大4台のサブユニットを光ファイバーコードで接続すると、最大160チャネルまで拡張が可能です。測定スタート/ストップ、トリガタイミング、サンプルクロックを同期できます。

図1 高速データアクイジションユニット SL2000

図1 高速データアクイジションユニット SL2000

図2 多彩なプラグインモジュール

図2 多彩なプラグインモジュール

 

4.2 同期運転によるチャネル拡張(/C50オプション)

複数台同期では最大4台のサブユニットを接続可能です。ユニット間の測定開始/終了動作、時刻同期だけでなく、メインユニットからサブユニットの画面表示、制御が可能です。
そのため、1台のスコープコーダDL950ではチャネル数が足りないとき、DL950をメインユニットとし、最大4 台のSL2000(サブユニット)を光ファイバーケーブルで接続することにより、最大160チャネルのアナログ信号を測定が可能です。またSL2000 本体にはディスプレイはありませんが、DL950(メインユニット)のディスプレイにSL2000(サブユニット)の計測波形を表示することができます。さらに、メインユニットであるDL950のディスプレイから、サブユニットであるSL2000の設定変更などのリモートコントロールも可能です。測定したデータは、統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8000で表示・解析、CSV 変換などを行うことが可能です。

図3 光ファイバーケーブルによる同期計測

図3 光ファイバーケーブルによる同期計測

 

4.3 IEEE1588、GPSによる同期計測

複数台の計測器を同期計測する場合、計測器同士が近ければ光ファイバーケーブルを使った複数台同期(/C50オプション)やEthernetで接続することで、IEEE1588 時刻同期(/C40オプション)を使うことが可能です。
しかし、測定対象が離れている場合には、光ファイバーケーブルやEthernetでは物理的に接続することが困難なケースもあります。そのようなときには、GPSインタフェース(/C35オプション)を活用した同期計測を行うことが可能です。さらに、GPSユニットを用いると、緯度や経度、速度、高度などの情報を収集することができるため、たとえば走行中の車両との相関関係を評価することも可能です。

図4 IEEE1588による同期計測(上) GPSによる同期計測(下)

図4 IEEE1588による同期計測(上)
GPSによる同期計測(下)

 

4.4 直観的につかえるアクイジションソフトフェア

アクイジションソフトウェアIS8000が提供するウィザード形式のガイダンスにより、すぐに測定を開始できます。測定を開始するため にシステム構築、測定条件、表示、記録条件の4つのウィザード画面で簡単に設定できます。SL2000にはIS8002(1ライセンス) が同梱されます。(/SNオプションを除く)

直観的につかえるアクイジションソフトフェア

ソフトウェア画面

通信設定画面

通信設定画面

チャネル設定画面

チャネル設定画面

測定画面

測定画面

4.5 アプリケーション事例(分散型電源)

水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーは電力網(グリッド)に接続され、持続可能な社会の実現に貢献しています。DL950およびSL2000は、電力の長時間記録や解析機能により、そのサポートをしています。たとえば、風力発電タービンでは、複数箇所での発電効率を時刻同期して観測する必要がありますが、GPSやIRIG 信号により高精度な時刻同期が可能です。また、太陽光パネルで発電された直流電力をグリッドに載せるためのDC/AC変換効率は高精度電力アナライザWT5000により高精度に計測することができ、DL950/SL2000の電力解析結果とともにIS8000で、計測データを統合的に検証することができます。

アプリケーション事例(分散型電源)

関連業種

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スコープコーダ DL950

DL950は、DL850E/EVの機能・仕様を大幅に改善し、タッチパネルによる直観的操作を可能した新時代のスコープコーダです。
200 MS/s高速サンプルレート、最大8Gポイントメモリー、複数台同期で最大160CHが可能で、お客様の様々なニーズにお応えします。

統合計測ソフトウェアプラットフォーム IS8000

IS8000統合計測ソフトウェアプラットフォームは、エンジニアリングワークフローを加速する統合ソリューションソフトウェアです。

高速データアクイジションユニットSL2000

SL2000は、 組み込みシステム向け絶縁オシロスコープです。システムラックに搭載可能です。
多チャネル計測、パソコンからの制御およびデータ記録に最適です。
DL950とSL2000を最大5台連結して同期させることが可能です。

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