家電・エアコン・OA機器・電源の完成品試験システムをスマート化する高速DAQユニット

家電・エアコン・OA機器・電源の完成品試験システムをスマート化する高速DAQユニット

1. 背景

脱炭素化社会の実現に向けて、エネルギー効率の向上は、あらゆる産業や製品にとって優先度の高い課題となっています。家電製品やエアコン、OA機器の分野においても、エネルギー消費の最適化とCO2 排出の削減が求められており、エネルギー効率の高い製品への需要が急速に拡大しています。
たとえば、エアコンでは圧縮機用モーターなど主要な電力消費部品に焦点を当てて効率向上を図ってきましたが、消費電力の小さい室内機の制御用モーターにもその取り組みを広げることで、エアコン全体としての消費電力を総合的に削減しようとする動きが見られます。
さらに、IoT化の進展により多様なセンサー出力の高精度な測定が求められることもあり、試験内容は多チャネル化・複雑化する傾向にあります。また、家電製品やエアコン、OA機器の完成品試験では、できる限り省スペースかつ多機能な試験システムを用いた効率改善が常に求められており、試験現場の構築に求められる仕様は日々高まっています。

 

背景

2. 課題

完成品試験システムに採用される測定器には、ベンチで採用される測定器と同等の性能に加えて、複数の試験に対応できる柔軟性や拡張性が求められるようになってきています。
特に電力効率測定においては、高精度な電力測定と同期した各種波形測定や、稼働時の過渡的な電力変動の評価も求められています。これらはいずれも専用の測定器を必要とするため、試験システムの構築を難しくしています。
こうした状況に対応できる、省スペースかつ高機能な測定器が求められています。

 

3. SL2000による課題解決

  • 多彩なプラグインモジュール
  • 複数台同期による多チャネル測定システム構築
  • デュアルキャプチャ機能
  • リアルタイム演算・電力演算
  • ラックマウントを想定した本体外形
  • 波形測定器ソフトウェアと電力測定器ソフトウェアの統合

 

4. SL2000による提案

4.1 多彩なプラグインモジュール

高速・高精度の電圧測定から温度、加速度、ひずみ、周波数、ロジックなど、多彩なプラグインモジュールをご用意しています。SL2000 本体の8つのスロットに装着し、お客様の測定ニーズにあわせて柔軟に構成を組むことができます。

図1 高速データアクイジションユニット SL2000

図1 高速データアクイジションユニット SL2000

図2 多彩なプラグインモジュール

図2 多彩なプラグインモジュール

 

4.2 複数台同期による多チャネル測定システム構築

SL2000はメインユニット1 台に対し、最大4 台のサブユニットを光ファイバーコード*1で接続することで、最大160チャネルまでチャネル拡張が可能*2です。測定スタート/ストップ、トリガタイミング、サンプルクロックを同期でき、多チャネル測定を行うシステムでも容易に構築できます。
*1:光トランシーバモジュール720941と光ファイバーコード720942を使用
*2:複数台接続インタフェース(/C50オプション)が必要

図3 光ファイバーケーブルによる同期計測

図3 光ファイバーケーブルによる同期計測

 

4.3 デュアルキャプチャ機能

耐久試験などでは長時間のトレンドを把握するために、低速サンプリングによりデータ収集を行います。しかし突発的に発生する高速な過渡現象は、高速サンプリングで測定する必要があります。デュアルキャプチャ機能は、2つの独立したサンプリングを同時に実行することが可能です。

図4 デュアルキャプチャ機能による波形取得のイメージ

図4 デュアルキャプチャ機能による波形取得のイメージ

 

4.4 リアルタイム演算・電力演算

リアルタイム演算(/G03オプション)では、取り込んだ信号にさまざまな演算を施し、結果をリアルタイムにトレンド表示します。演算結果に対してトリガをかけたり、波形パラメータの自動測定やカーソル測定をすることも可能です。また入力信号および演算結果へのフィルター処理が可能です。さらにリアルタイム演算は、入力チャネルとは独立しているので、入力32チャネル + 16チャネルのリアルタイム演算結果を同時に表示・解析できます。
電力演算(/G05オプション*)では、リアルタイムに1周期ごとの実効値、有効電力、積算電力、高調波など最大118種類の電力パラメータを演算し、測定する電圧、電流信号と、演算した電力パラメータのトレンド波形を、同時にリアルタイム表示します。電力パラメータのトレンド波形でトリガをかけることも可能です。
* 電力演算オプションには、リアルタイム演算オプションが含まれています。

図5 単相電圧・電流波形と電力パラメータ演算の例

図5 単相電圧・電流波形と電力パラメータ演算の例

 

4.5 ラックマウントを想定した本体外形

SL2000はラックマウント型システムとして組み込むことを想定して設計されています。
そのため、製品の消費電力を高精度に測定可能なWT5000やWT1800Rなどと同じラック内に組み込むことができ、スマートに製品評価システムを構築可能です。
4.4にてご提案した電力演算(/G05オプション)および、後述の統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8000との組合せにより、高精度電力測定と過渡的な電力測定を同期させた計測システムを構築可能のため、動的な測定を行う試験と静的な測定を行う試験の両方を実施するシステムを1つのラックと1台のPCで実現できます。

図6 SL2000を5台搭載したラックのイメージ

図6 SL2000を5台搭載したラックのイメージ

図7 SL2000(上)とWT5000(下)のサイズ比較

図7 SL2000(上)とWT5000(下)のサイズ比較

 

4.6 波形測定器ソフトウェアと電力測定器ソフトウェアの統合

SL2000などの波形測定器と電力計のソフトウェアは別々のソフトウェアでデータ収集を行うため、一般的にファイル形式が異なります。しかし、IS8000は、波形データと電力計データの同期という測定ニーズに合わせて、1つの統合計測ソフトウェアとして使用できます。
データ収集ソフトウェアを統一することで波形測定器と電力計の設定方法を可能な限り同じ操作にて行うことが可能です。これにより、従来別々に測定して保存していた方法に比べて、ファイルの整理や管理の業務を大幅に削減することが可能です。
また、電力計と波形測定器を同期して使用できるので、たとえば、異常データを検出する場合、図8に示す通り、電圧実効値、電流実効値が変化している部分を拡大することで波形データの異常を確認することができます。

図8 電圧波形変動時の電圧・電力値変動の確認例

図8 電圧波形変動時の電圧・電力値変動の確認例

図9 DL950/WT5000を使った波形と電力の解析

図9 DL950/WT5000を使った波形と電力の解析

関連業種

関連製品とソリューション

統合計測ソフトウェアプラットフォーム IS8000

IS8000統合計測ソフトウェアプラットフォームは、エンジニアリングワークフローを加速する統合ソリューションソフトウェアです。

高速データアクイジションユニットSL2000

SL2000は、 組み込みシステム向け絶縁オシロスコープです。システムラックに搭載可能です。
多チャネル計測、パソコンからの制御およびデータ記録に最適です。
DL950とSL2000を最大5台連結して同期させることが可能です。

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