脱炭素化社会の実現に向けて、エネルギー効率の向上は、あらゆる産業や製品にとって優先度の高い課題となっています。
家電製品やエアコン、OA機器の分野においても、エネルギー消費の最適化とCO2 排出の削減が求められており、エネルギー効率の高い製品への需要が急速に拡大しています。特に、これらの機器は日常生活で長時間にわたり稼働するため、長期間にわたるエネルギー効率の評価が、環境負荷の低減や運用コストの削減において重要な意味を持ちます。
エアコンやOA機器といった精密な制御を必要とする製品では、効率的なエネルギー消費を維持し、全体的なエネルギー消費量を削減することが、持続可能な社会の構築に向けて大きな貢献となります。また、製品寿命の長期化と耐久性の観点からも、実際の使用環境下でのエネルギー消費を詳細に把握し、長期間にわたる効率性や安定性の評価を行うことが重要です。
こうした効率評価には、高精度な電力計測およびオシロスコープなどの波形測定器を活用し、瞬時的な波形変動や温度変化を詳細に測定することが求められます。
家電製品、エアコン、OA機器は、家庭やオフィスにおいて常に稼働しているため、長時間にわたる電力評価が重要です。これらの機器は、長期間の運転においてエネルギー効率が低下するリスクや寿命に対する影響が懸念されており、特に長期的な性能評価が求められます。このため、長時間にわたる電力評価が必要不可欠です。しかし、電力計から得られる数値データの変動だけでは、電力値の異常時にどのような異常現象が発生しているかを特定することは難しい場合もあります。そこで、波形測定器を併用することが一般的な手段となっていますが、電力計と波形測定器を同期させて長時間の計測を行う方法は限られています。
図1 スコープコーダ DL950
高速・高精度の電圧測定から温度、加速度、ひずみ、周波数、ロジック、およびCAN/CAN FD/LIN/SENTといった車載シリアル通信データの計測など、多彩なプラグインモジュールをご用意しています。DL950本体の8つのスロットに装着し、お客様の測定ニーズにあわせて柔軟に構成を組むことができます。
また、メインユニット1台に対し、最大4台のサブユニットを光ファイバーコードで接続すると、最大160チャネルまで拡張が可能です。測定スタート/ストップ、トリガタイミング、サンプルクロックを同期できます。
図2 多彩なプラグインモジュール
耐久試験などでは長時間のトレンドを把握するために、低速サンプリングによりデータ収集を行います。しかし突発的に発生する高速な過渡現象は、高速サンプリングで測定する必要があります。デュアルキャプチャ機能は、2つの独立したサンプリングを同時に実行することが可能です。
本機能はアプリケーションメニューに登録されており、簡単に設定、実行できます。
図3 デュアルキャプチャ機能による波形取得のイメージ
リアルタイム演算(/G03オプション)では、取り込んだ信号にさまざまな演算を施し、結果をリアルタイムにトレンド表示します。演算結果に対してトリガをかけたり、波形パラメータの自動測定やカーソル測定をすることも可能です。また入力信号および演算結果へのフィルター処理が可能です。さらにリアルタイム演算は、入力チャネルとは独立しているので、入力32チャネル + 16チャネルのリアルタイム演算結果を同時に表示・解析できます。
電力演算(/G05オプション)では、リアルタイムに1周期ごとの実効値、有効電力、積算電力、高調波など最大118種類の電力パラメータを演算し、測定する電圧、電流信号と、演算した電力パラメータのトレンド波形を、同時にリアルタイム表示します。電力パラメータのトレンド波形でトリガをかけることも可能です。
※電力演算オプションには、リアルタイム演算オプションが含まれています。
図4 単相電圧・電流波形と電⼒パラメータ演算の例
DL950は、DL850E/EVの機能・仕様を大幅に改善し、タッチパネルによる直観的操作を可能した新時代のスコープコーダです。
200MS/s高速サンプルレート、最大8Gポイントメモリー、複数台同期で最大160CHが可能で、お客様の様々なニーズにお応えします。