近年、生成AIの急速な普及に伴い、データセンターのサーバー電源開発が加速しています。生成AIは大量のデータを処理し、高度な計算を行うために高性能なハードウェアを必要とし、特にGPU*2やTPU *3などの専用ハードウェアが求められています。
これにより、従来のサーバーに比べて大幅に高い電力消費が必要とされ、データセンターの電力供給インフラの強化が不可欠となっています。
高性能GPUサーバーの導入に伴い、データセンターではラックあたりの電力容量が問題となっています。このため、既存インフラの強化や新たな電力管理ソリューションの導入が進められています。また、生成AIの需要は今後も増加が見込まれており、それに伴いデータセンターのサーバー電源もさらに高効率化が加速すると考えられ、さまざまな取り組みが進められています。
*1 PSU:Power Supply Unit(パワーサプライユニット)
*2 GPU:Graphics Processing Unit(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)
*3 TPU:Tensor Processing Unit(テンサー・プロセッシング・ユニット)
生成AIの普及に伴い、データセンターのサーバー電源開発が加速していますが、これにはいくつかの課題が伴います。高性能GPUサーバーの導入により、データセンターではラックあたりの電力容量が急速に増加しています。また、電力消費が高まる中で、電源波形のひずみや電圧の変動がサーバーの安定動作に影響を与えることが懸念されています。
一方、UPS(無停電電源装置)は、停電や電源トラブルが発生した際にも電力を供給し続ける装置です。UPSは、サーバーやネットワーク機器などの重要な機器を保護し、データの損失やシステムダウンを防ぐために使用されます。生成AIの需要が今後も増加する中で、データセンターの電力供給インフラの強化や新たな電力管理ソリューションの導入が進められています。
スコープコーダ DL950
● 多彩なプラグインモジュール
● 高電圧・大電流の波形測定
● 電力パラメータ測定
● 複数台の同期測定
高分解能オシロスコープ DLM3000HD
● スイッチング損失測定
プレシジョンパワーアナライザ WT5000
● 電力基本確度±0.03%の高精度電力測定
● AC/DC変換、DC/DC変換の高精度効率測定
統合計測ソフトウェアプラットフォーム IS8000
● 測定パラメータ応答時間と規格との簡易比較
● ズーム表示による波形詳細確認
● 複数波形データの同一時間軸表示・比較
● 演算による波形解析
高速・高精度の電圧測定から温度、加速度、ひずみ、周波数、ロジック、およびシリアル通信データの計測など、多彩なプラグインモジュールをご用意しています。DL950 本体の8つのスロットに装着し、お客様の測定ニーズに合わせて柔軟に構成を組むことができます。
図1 スコープコーダDL950と多彩なプラグインモジュール
電力系統や発電システムでは、高電圧・大電流測定が必要な場合があります。高電圧測定では、高速200 MS/s・14ビット・絶縁モジュール(720212)と絶縁入力モジュール用プローブ(700929/702902/701947)を組み合わせることで1000 V(DC + ACpeak)まで測定可能です。
大電流測定においては、電圧測定モジュールとAC/DCスプリットコア電流センサーCT1000Sを組み合わせることで最大AC1000 A/DC1500 A*まで測定することができます。
AC/DCスプリットコア電流センサーは、測定ケーブルを切断せずに配線可能で、耐ノイズ性に優れ、広帯域においても安定して大電流を測定することが可能です。
* 動作環境温度 MAX + 40℃以内になります。
*DL950 本体にプローブ電源オプション(/P4または/P8オプション)が必要です。
図2 AC/DCスプリットコア電流センサー CT1000S
電力演算(/G05オプション)は、電圧実効値、電圧周波数、有効電力、無効電力、力率、効率など、1系統で最大118種類の電力パラメータを演算し、電圧・電流波形と電力パラメータのトレンド波形を、同一時間軸上にリアルタイムで表示できます。
演算区間を入力信号のエッジに設定することで、1周期または半周期ごとに演算が可能なため、出力過渡時や出力変動時における過渡的な電圧・電流および電⼒パラメータの測定が可能です。また、演算した電力パラメータをトリガソースに設定できるため、瞬時的な電圧低下時や周波数変動時における電圧・電流・電力パラメータの変動も確認できます。さらに、電力パラメータに対しても、パラメータの自動測定、カーソル測定も可能です。
図3 単相電圧・電流波形と電⼒パラメータ演算の例
メインユニット1 台に対し、最大4台のサブユニットを光ファイバーコードで接続すると、最大160チャネルまで拡張が可能です。測定スタート/ストップ、トリガタイミング、サンプルクロックを同期できます。
図4 DL950の5 台連結例
また、測定したデータは統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8000で波形表示ができます。IS8000は、複数の測定器の制御とデータ収集を統合し、信頼性と効率性を向上させます。測定後のデータ解析も1つのディスプレイで簡単に行えます。
パワーデバイスのスイッチング損失は、ターンON/OFF区間の電圧と電流の積、および導通区間の電流とON抵抗RDS(on)や飽和電圧VCE(sat)などの定数を用いた電力計算から求めるのが一般的ですが、DLMシリーズの電源解析機能のスイッチング損失演算を使うことで、これらの計算を簡単に行うことができます。
たとえば、測定対象がMOSFETの場合、スイッチング区間を切り出すための電圧・電流レベル値、およびON抵抗値を入力することにより、以下に記載した損失を電力[W]および電力量[JまたはWh]として簡単に求めることができます。
● ターンON損失
● 導通損失
● ターンOFF損失
● 上記の合計
DLMシリーズでは任意の2か所を同時にズームできるため、図2のように注目する周期のターンON/OFF部を拡大し、リンギングやノイズの状態を確認できます。
図5 1周期に注目しスイッチング損失を求める
プレシジョンパワーアナライザWT5000は世界最高クラスの測定確度となるトータル±0.03%(50/60 Hz)を実現しています。
また、実効値に対して波高値が高い電流を測定する場合、レンジ誤差を減らすことが必要ですが、電力確度±(0.01% of reading + 0.02% of range)(50/60 Hz)とレンジ誤差も小さく、高精度に電力測定が可能です。電力入力はモジュラー構造で、お客様自身で入れ替えや増設が可能です。3種類のエレメント(定格入力30 A/ 定格入力5 A/ 電流センサー入力専用)から選択いただけますので、広範囲の電流振幅に対応する柔軟な 測定を1 台で実現できます。
30 A/5 A/ 電流センサーエレメントを混在して搭載した例
図6 WT5000エレメント搭載(3 種類)
AIデータセンターの電源は内部にいくつかの変換回路が搭載されています。そして通常のAC商用電源に接続するため高調波の抑制が重要となり、PFC回路が搭載されています。また、DC 電圧レベルをコントロールするDC/DCコンバータなどが内蔵されています。これらの回路に関しては、電力損失を極力減らすための設計が極めて重要です。そのため多チャネル入力を特長とするWT5000を用いることで、各回路ごとの効率を高精度に測定できます。
図7 WT5000とCT1000Sの接続例
測定項目の応答時間が規格値内かどうか簡易比較できます。
測定データCSVファイルと規格基準線CSVファイル(事前に作成が必要)の2つのファイルを読み込み、重ね合わせることで測定値と規格値を簡易比較することができます*。
* 測定波形に再現性があることを前提とした波形比較になるため、簡易比較としております。お客様の環境にて事前の検証が必要になります。
図8 規格値との比較例
最大同時に4つまでズーム表示が可能です。波形の立ち上がり・立ち下がりなど複数箇所を同時に詳細確認ができます。
図9 最大同時に4つのズーム表示例
オシロスコープDLMシリーズやスコープコーダDLで測定したデータは、オフライン解析にて各測定データの時間軸を合わせ表示することが可能です。同期方法には絶対時刻や波形の先頭、末尾に合わせる方法以外にも、各波形のトリガ位置の情報を元に基準時間軸を合わせることができます。トリガ位置を基準とし表示することで、トリガがかかった事象の前後関係を解析することなどに役立ちます。
図10 電圧・電力値異常時の波形データ観測例
波形確認後、パラメータ測定やカーソル測定だけでなく、拡張演算オプションでは波形演算、FFT解析も可能です。
図11 トリガ位置における2つのファイル表示例
DL950は、DL850E/EVの機能・仕様を大幅に改善し、タッチパネルによる直観的操作を可能した新時代のスコープコーダです。
200 MS/s高速サンプルレート、最大8Gポイントメモリー、複数台同期で最大160CHが可能で、お客様の様々なニーズにお応えします。
持続可能な社会の実現に向けて、COP21におけるパリ協定の採択、既存エンジン車の販売停止計画発表など、グローバルで太陽光/風力発電に代表される再生可能エネルギーへのシフトと、EVやPHVおよびそのインフラ網の開発が加速しています。それらの更なる省電力化と高効率化を支援するために、従来機種の性能と機能を格段に向上させた高精度電力計です。
DLM3000HDシリーズは、小型軽量コンパクトながら大容量ロングメモリーと豊富な解析機能で好評いただいてきたDLM3000シリーズが電圧軸分解能を拡張し、メモリーを最大1Gポイント(/M3オプション)まで拡張、入力感度やアクイジションレートなど様々な改善を施した、新設計の4チャネルミックスドシグナルオシロスコープです。