背景
電子制御の技術革新に伴い、自動車開発において様々な性能向上が図られています。エンジン、EVモーター、ブレーキ、AT、CVTなどのトランスミッションやステアリングなどの制御、ライト、キーレスエントリーやナビなどのボディーに関する分野、および、カーナビゲーション、エアバッグ、バッテリ、ADAS*1などの分野においても電子制御技術が用いられています。それらを制御するコンピューターがECU*2であり、急速に進む自動車の電動化、先進技術の開発を担うためにも欠かせない存在となっています。ECUのハード開発およびソフトウェア開発においては信頼性を高めながら、かつ、効率改善による開発スピードをいかに高めていくかが重要なテーマになります。
*1:Advanced Driver Assistance Systems
*2:Electronic Control Unit
課題
ECUの評価では、主にセンサー信号の出力信号確認、電源電圧降下時の出力信号確認、制御信号と出力信号タイミング確認など、様々な評価仕様項目シートに従いながらオシロスコープによる波形測定を行います。
オシロスコープによる評価時、各種信号間のタイミング確認のため、入力信号のパラメータを変更しながら、ECUの出力信号を複数測定することがありますが、データ測定後はExcelなどによるデータ処理が必要になります。
このような評価では、測定回数が増えればファイル数も増えるだけでなく、長時間測定によるデータ数も同様に増えるため、Excelなどによるデータ処理時間が課題になります。
また、ECUに採用している電子部品を置き換える場合、変更前の部品と変更後の部品における特性比較のため波形測定を行います。 このような比較評価では多くのデータを収集しなければならず、測定後のデータ処理時間が課題になります。そのため、評価における課題を解決するためには、データ処理工数を減らすことが開発スピードや効率を上げることに繋がっていきます。
IS8000 による課題解決
IS8000 による提案
複数波形データの同一時間軸表示・比較
オシロスコープDLMシリーズやスコープコーダDLで測定したデータは、オフライン解析にて各測定データの時間軸を合わせ表示することが可能です。同期方法には絶対時刻や波形の先頭、末尾に合わせる方法以外にも、各波形のトリガ位置の情報を元に基準時間軸を合わせることができます。
トリガ位置を基準とし表示することで、トリガが掛かった事象の前後関係を解析することなどに役立ちます。
図1 トリガ位置における2つのファイル表示例
ズーム表示による波形詳細確認
最大同時に4つまでズーム表示可能です。波形の立上り・立下 りなど複数個所を同時に詳細確認が可能です。
図2 最大同時に4つのズーム表示例
演算による波形解析
波形確認後、パラメータ測定やカーソル測定だけでなく、拡張演算オプションでは波形演算、FFT解析も可能です。
図3 パラメータ測定例
画像を用いたレポート作成
自動レポート作成オプションは測定データや波形、グラフ、実験条件など、記載項目をドラッグ・アンド・ドロップでシート上に並べるだけで、技術レポートのレイアウトが簡単に作成できます。 また一度作成したレイアウトはひな形として他の測定データにも再利用できます。定形試験のレポート作成や、規格試験の報告書作成の工数の節約に効果を発揮します。
図4 レポート作成例