近年、再生可能エネルギーの普及はますます増加しており、CO2排出量の削減に大きく貢献してきています。太陽光や風力などのクリーンエネルギーを利用することで、化石燃料に依存することなく電力を供給できるため、環境への負荷が軽減されます。また、電力の有効活用や消費電力の削減も重要な課題となっています。スマートグリッド技術やエネルギー効率の高い家電製品の導入などが進められており、これらの取り組みがエネルギーの無駄を減らし、持続可能な社会の実現に寄与しています。
エアコン、家電、OA機器、電源などは生活必需品であり、使用頻度も高いことから消費電力が多くなる傾向にあります。そのためこれらの機器の開発においては、消費電力削減が重要なテーマとなっており、電力変換技術の開発や省電力化製品の開発だけでなく、効率の良い制御開発が重要な役割を果たしています。
電力変換技術や省電力化製品の開発、効率の良い制御技術の開発においては、インバータやコンバータなどの電力変換回路だけでなく、効率的な制御が求められます。
急速に進む消費電力削減に対応する製品開発の中で、インバータやコンバータ、その他の制御基板を含むハードウェアおよびソフトウェア開発においては、信頼性のさらなる向上および電力変換効率の改善を行いながら、いかに開発スピードを高めていくかが重要なテーマとなります。
制御基板の評価では、主にインバータやコンバータなどの電力変換、その他の制御の出力信号確認、電源電圧降下時の出力信号確認、制御信号と出力信号タイミング確認など、さまざまな評価仕様項目シートに従いながらオシロスコープによる波形測定を行います。
オシロスコープによる評価時、各種信号間のタイミング確認のため、入力信号のパラメータを変更しながら、制御基板の出力信号を複数測定することがありますが、データ測定後は表計算ソフトウェアなどによるデータ処理が必要になります。
このような評価では、測定回数が増えればファイル数も増えるだけでなく、長時間測定によるデータ数も同様に増えるため、表計算ソフトウェアなどによるデータ処理時間が課題になります。
また、制御基板に採用している電子部品を置き換える場合、変更前の部品と変更後の部品における特性比較のため波形測定を行います。このような比較評価では多くのデータを収集しなければならず、測定後のデータ処理時間が課題になります。そのため、評価における課題を解決するためには、データ処理工数を減らすことが開発スピードや開発効率を上げることにつながります。
オシロスコープDLMシリーズやスコープコーダDLで測定したデータは、オフライン解析にて各測定データの時間軸を合わせ表示することが可能です。同期方法には絶対時刻や波形の先頭、末尾に合わせる方法以外にも、各波形のトリガ位置の情報を元に基準時間軸を合わせることができます。
トリガ位置を基準とし表示することで、トリガがかかった事象の前後関係を解析することなどに役立ちます。
図1 トリガ位置における2つのファイル表示例
最大同時に4つまでズーム表示可能です。波形の立ち上がり・立ち下がりなど複数箇所を同時に詳細確認が
図2 最大同時に4つのズーム表示例
波形確認後、パラメータ測定やカーソル測定だけでなく、拡張演算オプションでは波形演算、FFT解析も可能です。
図3 パラメータ測定例
自動レポート作成オプションは測定データや波形、グラフ、実験条件など、記載項目をドラッグ・アンド・ドロップでシート上に並べるだけで、技術レポートのレイアウトが簡単に作成できます。また一度作成したレイアウトはひな形として他の測定データにも再利用できます。定型試験のレポート作成や、規格試験の報告書作成の工数の節約に効果を発揮します。
図4 レポート作成例