概要
電気製品に求められる低周波エミッション測定の一部に、高調波に対するIEC 61000-3-2および電圧変動/フリッカに対するIEC 61000-3-3があります。日本の電源電圧に合せた規格がJIS C 61000-3-2です。
高調波とは機器の消費電流波形のひずみ成分のことです。インバータ駆動するモーターやスイッチング電源などの機器を商用電源に接続すると、電源周波数の整数倍の周波数成分が機器から発生し、商用電源にひずみを生じさせてしまいます。高調波は、電力系統の無効電力を増加させるばかりでなく、機器の誤動作や異音、焼損などの悪影響を及ぼします。
電圧変動/フリッカは、電源電圧の変動および照明器具のちらつき(フリッカ)のことです。電気製品のオン/オフによる負荷の変動により電源電圧の変動が発生します。これにより、機器の誤動作や照明のちらつきが発生します。
CEマーク取得、あるいは製品開発および評価において、最新の規格に適合することの試験が求められます。
課題 / 要望ポイント
高調波および電圧変動/フリッカ試験では、各規格に基づいた測定器を使う必要があります。また、規格は度々改訂されるため、最新の規格を常に確認する必要があります。
さらに、規格試験は対象機器の条件分けが煩雑であることから、特別な知識が無くても、条件の設定から試験、レポート作成までを行えることが期待されています。
高調波試験
電源電圧の高調波電流が限度値を超えないことを評価します。16A以上の⼤電流⽤規格に、IEC 61000-3-12があります。
電圧変動/フリッカ試験
電源電圧の変動およびフリッカが限度値を超えないことを評価します。16A以上の⼤電流⽤規格に、IEC 61000-3-11があります。
ソリューション / ご提案
プレシジョンパワーアナライザWT5000(/G7オプション)と統合計測ソフトウェアプラットフォームIS8000の高調波電流・電圧変動/フリッカ測定ソフトウェアIS8011/IS8012を組み合わせて、IEC規格に準拠した高調波および電圧変動/フリッカ試験を行うことができます。
※1 株式会社エヌエフ回路設計ブロック製
※2 株式会社エヌエフ回路設計ブロック製品電源を使用する場合は、GP-IBのみ可能
※3 GP-IB、イーサネット、USBが可能(WT5000はすべて標準装備)
IS8011/IS8012の機能
IEC 61000-3-2規格試験のレポート例
対応規格(2021年4月現在)
高調波規格
IEC 61000-3-2: Ed3.0 (2005), Ed3.0 A2 (2009)
IEC 61000-3-2: Ed4.0 (2014), Ed5.0 (2018)
EN 61000-3-2: 2006, 2009, 2014, 2019
IEC 61000-3-12: Ed1.0 (2004), Ed2.0 (2011)
EN 61000-3-12: 2005, 2011
IEC 61000-4-7: Ed1.0 (1991), Ed2.0 (2002), Ed2.0 A1 (2008)
EN 61000-4-7: 1993, 2002, 2009
JIS C61000-3-2: 2011, 2019
JIS C61000-4-7: 2007
電圧変動 /フリッカ規格
IEC 61000-3-3: Ed2.0 (2008), Ed3.0 (2013)
IEC 61000-3-3: Ed3.0 A1 (2017)
EN 61000-3-3: 2008, 2013, 2019
IEC 61000-3-11: Ed 1.0 (2000), Ed2.0 (2017)
EN 61000-3-11: 2000, 2019
IEC 61000-4-15: Ed1.1 (2003), Ed2.0 (2010)
EN 61000-4-15: 2003, 2011
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