YOKOGAWAのオシロスコープの詳細はこちら
オシロスコープ基本性能
オシロスコープは、目に見えない電気信号(電圧変動)を画面に表示し、観測可能にする装置です。
画面には時間の経過に伴う電圧の変化が表示されます。
【オシロスコープの主な使用目的】
これら各目的において便利な機能が搭載されています。
①電圧(電流、他)の大きさを測定したい
②信号の立ち上がりの様子を観測したい
③信号の周期・周波数を観測したい
④複数の信号とのタイミング(時間差など)を測定したい
⑤たまにしか出ない異常な信号(ノイズなど)を観測したい
⑥複数の信号を測定し演算したい(電圧、電流から電力を演算する等)
⑦シリアル信号からパターン解析をしたい(I2C、SPI、UART、CAN、LIN等)
【オシロスコープと他の電圧測定器】
【ディジタルオシロスコープの基本性能】
入力チャネル数
周波数帯域
最高サンプルレート(周波数)
最大レコード(メモリ)長
【周波数帯域(時間軸上で見た場合)】
「周波数帯域:500MHz」のオシロスコープで、正弦波(サイン波)を測定したとき、信号の周波数がちょうど500MHzである場合はどうなるか?
|
||
入力信号 | 測定結果(表示) |
実際には、信号の振幅が0.7Vp-pで30%程度減少して表示されます。
これは、基本的には正しい測定ではありません。
オシロスコープのメーカーは、一般的に周波数帯域とうたっていますが、-3dB落ちるポイントを性能機能としてうたっているので、帯域に余裕をもって選定することが大切です。
オシロスコープに一定電圧の振幅の正弦波を入力した状態で、周波数を上げていくと、ある周波数を超えたところから振幅が徐々に減衰します。
|
減衰量は、「出力/入力」を対数で表現する。 |
※ オシロスコープの周波数帯域は3dB減衰する周波数で定義されています。
【立ち上がり時間】
オシロスコープの『立ち上がり時間』
観測される波形にはオシロスコープ自身の『立ち上がり時間』の影響が含まれています。
この立ち上がり時間は以下の式で求めることができます。
立ち上がり時間 Tº=350/ƒ(ns)
350:ガウシアンとく線のロウロウフリツからきている係数
ƒ:周波数帯域(ƒMHz)
右図では、Max/Minに対して、10%-90%の値の時間が立ち上がり時間となります。
オシロスコープで観測したパルス信号の立ち上がり時間は、
信号の立上り時間に対して測定の立上り時間が十分に速い場合は真値を表示していると考えて問題ないですが、測定系の立上り時間(帯域)に余裕が無い場合は注意が必要です。
【基本波と高調波】
周期波形の「正弦波」への分解
ある周期Tの繰り返し信号は、周期Tと周期T/n(n=2,3,…∞)の正弦波に分解できます(フーリエ級数)。
このとき、周期Tの正弦波のことを信号の「基本波」、周期T/nの正弦波を「高調波(n次高調波)」と呼びます。
|
||||||
直流分 X0 % |
基本波 X1 % |
2次高調波 X2 % |
3次高調波 X3 % |
4次高調波 X4 % |
||
[実際には位相情報も含まれる。] |
方形波、三角波などの様々な波形も、実際には正弦波(基本波+高調波)の組み合わせで構成されています。
その一方でオシロスコープに限らず、測定器のアナログ周波数帯域は基本波だけから成る、ひずみのない波形=「正弦波」で規定されています。
高調波成分がない波形を測定する場合は、オシロスコープの帯域を信じてください。
※ オシロスコープで正弦波以外の波形を測定する場合、基本波だけでなく、高調波成分を含めて考えることが必要です。
【パルス波形に含まれる周波数成分】
パルス波の周波数成分
パルス波も、基本波と高調波とに分解できます。
繰返し周期1MHzのパルス波は、1MHz, 3MHz, 5MHz, … ,∞Hzの正弦波の組み合わせで表現できます。
3次、5次、7次には、立ち上がり時間や立ち下がり時間のオーバーシュート、アンダーシュート、リンギングの高調波が含まれます。
オシロスコープの周波数帯域が基本波成分をカバーするだけでは、高調波成分が減衰してしまい、パルス波形などを正しく測定できません。
※ 理想的には無限に高い周波数帯域が必要ですが、現実的にはパルス波の基本波周波数の5倍程度の帯域が必要とされています。
【周波数帯域の違いによる波形への影響】
実際に繰り返し周波数1MHzのパルスを異なる周波数帯域で測定した場合
測定信号に対し、オシロスコープの周波数帯域が十分に高い必要があります。
【ディジタルオシロスコープの基本構成と信号の流れ】
ブロック図
【A/Dコンバータの動作】
量子化とは、特定のブロックでサンプリングして得られた信号をbit数のデータに置き換える作業のことを表します。
量子化をする縦軸はADコンバータの分解能、横軸はサンプリングスピードで決まるため、デジタル出力は連続的な値ではなく離散的な値となります。
サンプリングスピードは変換するアナログ信号に対して十分に高速でないと正しい波形を再現できません。
【垂直分解能】
|
||
アナログ入力 |
A/D 変換器 |
ディジタル出力 |
分解能 8bit : 28=256 レベル |
オシロスコープの縦軸は8divフルスケールとなります。
1V/divで測定していた場合、8bitのオシロスコープでは、分解能を電圧に換算すると1V/div×8div÷256で、1bit当たりの分解能は約31mVとなります。
つまり、縦軸分解能が多ければ多いほど細かい分解能で信号観測が可能となります。
【DLM3000の垂直分解能】
垂直分解能と有効データ範囲
DLM3000の垂直分解能は8bitですが、有効データ範囲は250LSB(25LSB×±5div)となります。
このうち画面表示が可能なのは±4divです。
|
|
オシロスコープを使うときは、できる限り電圧をフルスケール近くで使用することがお勧めです。
オーバーレンジについて
画面外に1div分の測定可能範囲がありますが、範囲を超えた場合には正しい測定ができません。
測定の際には、画面表示範囲内に波形が納まるようにしてください。
オーバードライブの影響
波形が測定可能範囲を超えた状態のことをオーバードライブと呼びます。
オーバードライブが発生すると測定範囲内の波形にも影響が出るため、正しい測定ができません。
弊社のオシロスコープは、オーバードライブリカバリーという機能である程度ひずみを抑制してくれる回路が備わっています。
DLM2000は、数十nsで、正しい波形の1%以内はカバーできる回路が備わっていて、DLM3000は、オーバードライブしない領域がDLM2000の1.5倍広いです。
500mVで±15Vまではオーバードライブしない回路ですが、オーバードライブを避けて波形をはかっていただくことをお勧めします。
サンプリングレートとは
A/D変換する際に時間軸上でどれくらい細かく信号を観測することができるかを1秒間当たりのA/D変換(サンプリング)する速度を S/s(Sample/Second)で示します。
1秒間に |
|
|
|
1秒間に10回サンプリング |
1秒間に20回サンプリング |
サンプリングレートが重要な理由
|
|
|
||||||||||
サンプリングレートが高速になればなるほど同じ測定時間でのデータ数が増える |
※ データ数がアクイジションメモリ(レコード長)です。
【サンプリングレートとレコード長】
レコード長が重要な理由
|
|
|
※ 測定時間に対し十分に大きなレコード長がなければ高速サンプリングで測定できません。
【エリアシング現象】
サンプリングレートが不足している場合にオシロ画面上に元波形とは異なった波形が再現されることがあります。
この現象をエリアシング(Aliasing)といいます。
入力信号に対して |
ディジタルデータの補間により、 |
|
|
入力信号に対して |
ディジタルデータを補間すると、 |
|
入力信号を再現させるには、少なくとも被測定波形の2倍以上の速さでサンプリングする必要があります(サンプリング定理)。
一般的に信号測定に必要とされるオシロスコープの仕様
※ 観測時間が長めの場合、エリアシングや補間によるオーバーシュートなど好ましくない現象が起きやすくなるため、信号に対して十分なサンプルレートを確保することが重要です。
時間軸変更時はサンプリングレートの変化にも注意し、レコード長を調整してください。
トリガ機能とは
【拡張トリガ】
エッジトリガでだけは狙った波形をうまく捉えられない場合があります。
パターントリガの例
カーソル機能
波形パラメータ自動測定機能
波形演算機能
各種解析機能
【フロントパネル】
タッチパネルとノブで同じ操作が可能です。
【画面から情報を読み取る】
画面の見方
このグリッドを使って波形の様子を読み取ります。
|
|
||
電圧軸感度(V/div)は「SCALE」ノブで、垂直ポジション(表示位置)は「POSITION」ノブで設定します。
【入力チャネル設定】
入力チャネルメニューには、入力カップリングやフィルタ、プローブ減衰比などの設定機能が用意されています。
●表 示 |
波形表示のON/OFFを行います、CHキーのダブルクリックでON⇒OFFすることも可能です。 |
●カップリング |
入力カップリングの種別を設定します。 |
|
●帯域制限 |
帯域を制限し、高周波成分(ノイズなど)を除去した波形にしたい場合などで使用します。 |
●プローブ |
接続したプローブの減衰比(10:1など)やプローブ間のスキュー補正を設定します。 |
【入力カップリング:AC】
【入力抵抗(インピーダンス):1MΩ/50Ω】
電源供給を必要としないプローブ
10:1 パッシブプローブ |
該当するプローブが1MΩ、50Ωどちらに適応するかは、プローブのカタログやマニュアルに記載されています。
プローブに合った入力インピーダンスを設定してください。
電源供給の必要なプローブ
時間軸は「TIME/DIV」ノブと「POSITION」ノブで設定します。
トリガ機能により波形をどのタイミングで止めて表示するか設定します。
トリガポジションの変更 |
|
|
トリガレベルの変更 |
トリガポジション |
|
トリガレベル |
エッジORトリガ
CH1~4いずれかの |
CH1~4それぞれのトリガレベルを設定可能 |
パターントリガ
パルス幅トリガ
パルス幅トリガ(Highパルス)
パルス幅トリガ(Lowパルス)
立ち上り/立ち下り時間トリガ
ラントトリガ
タイムアウトトリガ
ウィンドウトリガ(ウィンドウORトリガ)
インターバルトリガ
【トリガモード】
表示波形を更新する条件を設定します。トリガモードには、次の5種類があります。
●シングルモード |
[SINGLE]キーを押した後、トリガを検出すると1回だけ表示更新してストップします。 |
●自動(オート)モード |
トリガの検出で表示更新します。 |
●オートレベルモード |
トリガの検出で表示更新します。 |
●ノーマルモード |
トリガを検出できない場合はトリガ待ちの状態で、トリガを検出した時だけ表示更新します。 |
●Nシングルモード |
予め指定した回数のトリガ波形を高速に捕捉してストップします。 |
【アクイジションモード】
サンプリングした波形データを画面表示する時に、所定のデータ処理を施して表示することができます。
この処理をアクイジションモードと呼び、次の3種類があります。
|
【カーソル機能】
カーソルを表示させ、波形の各種測定値を読み取ります。
|
●垂直カーソル |
|
移動カーソル |
|
カーソル移動 |
●水平カーソル |
|
【波形パラメータ自動測定機能(メジャー機能)】
カーソル移動(上下左右)と |
|
カーソル移動 |
電圧軸に関する測定項目 |
V1 :各トレースとT Range1 の交点の電圧値 V2 :各トレースとT Range2 の交点の電圧値 Max :最大電圧値[V] Min :最小電圧値[V] P-P :P-P 値(Max−Min)[V] High :High の電圧値[V] Low :Low の電圧値[V] Amplitude:振幅[High-Low] Rms :実効値電圧[V](1/ ( √ n))( Σ (xN2))1/2 Mean :平均電圧[V](1/n) Σ xN Sdev :標準偏差[V](( Σ xN2−( Σ xN)2/n)/n)1/2 IntegTY + :振幅の正方向の面積和[Vs] IntegTY :振幅の正負両方の面積和[Vs] + Over :オーバーシュート量[%] (Max−High)/(High−Low) × 100 −Over :アンダーシュート量[%] (Low−Min)/(High−Low) × 100 |
時間軸に関する測定項目 | |
ΔT:T Range1 とT Range2 の時間差 Freq:周波数[Hz] Period:周期[s] + Width:基準線(Mesial)より上の時間幅[s] −Width:基準線(Mesial)より下の時間幅[s] Duty:デューティ比(+Width/Period × 100)[%] |
|
* Freq、 Period、 + Width、 −Width、 Rise、 Fall、 Duty は、先頭の1周期を測定対象にしています。 | |
Rise:立ち上がり時間[s] Fall:立ち下がり時間[s] |
|
Delay:波形間ディレイ[s] Pulse Count:パルスカウント[無単位] Edge Count:エッジカウント[無単位] Avg Freq:測定範囲での平均周波数[Hz] Avg Period:測定範囲での平均周期[s] |
【データ保存】
オシロスコープでは取得したデータを保存できます。(DLM3000)
データの保存/ 読み込み先は次の3種類です。(DLM3000)
【画面データの保存・プリントアウト】
画面イメージを電子データ保存或いはプリントアウトできます。 |
電子データ保存
モード: |
Hardcopy、Normal、Wide |
保存形式: |
PNG、BMP、JPEG |
カラー: |
OFF、ON、ON(Rev.)、ON(Gray) |
サムネイル表示: |
画面イメージ及びBinary形式波形データファイル |
保存先: |
内蔵ストレージ、内蔵フラッシュメモリ、ネットワークドライブ(イーサネットインタフェースオプション搭載時)、USBストレージ |
プリントアウト
プリントアウト先: |
内蔵プリンタ |
炭素排出量削減に貢献
いま世界は急速な変化にさらされており、エネルギー問題もその一つです。たとえば、自動車などの移動手段は、炭素排出量の削減のため今後より一層化石燃料からの脱却が進み、再生可能エネルギーにシフトしていきます。
よりクリーンでより環境に優しい世界へ。YOKOGAWAは持続可能なエネルギー供給の実現に向けて、高精度計測で貢献しています。
使いやすい縦型コンパクトのアナログ4ch入力「ミックスドシグナルオシロスコープDLM3000シリーズ」と大画面アナログ 8ch 入力 「ミックスドシグナルオシロスコープDLM5000 シリーズ」に、 電圧軸が12ビット高分解能化した「高分解能オシロスコープ DLM3000HDシリーズ、DLM5000HDシリーズ」がラインアップされました。
信号の周波数やレベルに対応した電圧プローブや電流プローブ、広い温度環境で使用可能なプローブなど、多様化する今日の測定対象を幅広くカバーする豊富なオシロスコープ用アクセサリ群をご用意しており、正確な波形測定をサポートします。
測定したデータをPC上で波形表示する波形ビューワや、波形解析、データ転送、データ変換、PCと測定器を接続しリモートで自由にコントロールする計測器ドライバなど、オシロスコープ/スコープコーダをさらに活用いただける、各種ソフトウェアをご用意しています。
オシロスコープは、高速な電気信号を波形として表示するエレクトロニクス技術者必須の測定器です。
ユニークな縦型コンパクトモデルや多チャネルモデルのオシロスコープに加え、オシロスコープとデータロガーの機能を兼ね備えたスコープコーダなど、特長ある製品ラインアップをご用意しています。
また、様々な測定に対応する電圧プローブ、電流プローブ、ロジックプローブを取りそろえ、数々の先進機能を搭載し、日々の測定業務を強力に支援します。
電圧、絶縁電圧、電流、ディジタル信号、エンコーダ出力、車載ネットワーク通信、ひずみや温度など、幅広い測定対象をカバーするスコープコーダ用アクセサリを豊富にご用意しております。
高速信号の観測に最適なアクティブプローブ、各種パッシブプローブ、パワーエレクトロニ クスでのフローティング信号に適した高電圧差動プローブ、高速から大電流まで対応する 電流プローブなど、幅広い測定用途をカバーする豊富な製品ラインナップをご用意しています。
電圧プローブを使用して、オシロスコープと被測定回路を接続し、電圧を正確に表示、測定します。様々な測定対象に対応するため、高圧プローブ、絶縁型BNC用プローブ、高電圧差動プローブ、高速差動プローブや広温度環境用、高速信号用などのプローブをご用意しております。
オシロスコープで電流を測定するためには、電流を電圧に変換する電流プローブが必要になります。大電流用、微小電流用に加え、高速電流用と幅広いラインアップで取り揃え、様々な電流波形測定に対応しています。
スコープコーダは、オシロスコープの使い易さと多チャネルデータ収集するデータロガーを融合した統合型計測器です。
スコープコーダ一台で、信号を同時にデータ収録し、オシロスコープと同様のトリガ機能を揃え、データ表示、分析ができ、様々な用途にお使いいただけます。