電気エネルギーは、電熱器や電気炉の熱、モータの回転力、蛍光灯や水銀灯の光などの各エネルギーに変換されて利用されます。 このような負荷に対して電気がする仕事(電気エネルギー)を、単位時間当たりの量で表したものが、電力(electric power)です。単位はW(ワット)を用い、1秒間に1ジュールの仕事をするとき、その電気エネルギーは1Wになります。
● 直流の電力
![直流の電力](//cdn.tmi.yokogawa.com/18/7328/details/fig-1.gif)
直流の電力P[W]は、加えられた電圧U[V]と負荷を流れる電流I[A]との積で求められます。
P=UI [W]
毎秒、P[W]の電気エネルギーが電源から取り出され、抵抗R[Ω](負荷)で消費されます。
● 交流の電力
交流の電力は、容量性負荷(コンデンサ)や誘導性負荷(インダクタンス)が含まれることによって電圧と電流の間に
位相差が生じます。電圧の瞬時値がu =Umsinωt、
電流の瞬時値が i =Imsin(ωt-φ) である場合、交流の電力の瞬時値 p は、次のように表します。
p=u×i=Umsinωt×Imsin(ωt-φ)=UIcosφ-UIcos(2ωt-φ)
![交流の電力](//cdn.tmi.yokogawa.com/18/7328/details/fig-2.gif)
UとI は、それぞれ電圧と電流の実効値を、φは電圧と電流の位相差を表します。
pは時間に無関係の「UIcosφ」と、電圧や電流の2倍の周波数の交流分「-UIcos(2ωt-φ)」の和になります。負荷で消費される単位時間あたりの電力Pは、pの平均値であるため、pの交流分「-UIcos(2ωt-φ)」は0と
なり、電力Pは、P=UIcosφ[W]になります。
同じ電圧と電流でも、その位相差φによって電力が異なります。図2の横軸より上は正の電力(負荷に供給される電力)で、軸より下は負の電力(負荷から逆送される電力)です。この正負の差が負荷で消費される電力になります。
電圧と電流の位相差が大きくなるほど負の電力が増加し、φ=π/2では正負の電力が同じになって、電力を消費しなくなります。
● 有効電力と力率
交流では、電圧と電流の積UIすべてが負荷で消費される電力ではありません。
積UIは、皮相電力S(apparent power)といわれ、見かけの電力を表します。
単位はVA(ボルトアンペア)です。
皮相電力は、機器の電気容量を表すのに用いられます。皮相電力のうち、前述の負荷で消費される電力を有効電力P(active powerまたはeffective power)、消費に寄与しない電力を無効電力Q(reactive power)といいます。無効電力の単位はvar(バール)です。
S=UI [VA] P=UIcosφ [W] Q=UIsinφ [var]
cosφは、皮相電力が真の電力になる割合を示したもので、これを力率λ(power factor)といいます。 皮相電力S、有効電力P、無効電力Qとの間には、次の関係があります。
S2=P2+Q2