NC工作機械におけるトラブル解析及び切削条件の最適化

統合計測ソフトウェアプラットフォーム IS8000

統合計測ソフトウェアプラットフォーム IS8000

1. 背景Introduction
NC旋盤は縦・横・高さの座標軸を設定し、あらかじめプログラムした手順通りに切削工具であるバイトを動かして自動的に高精度かつ高速で加工する。同じ製品を繰り返し作ることに適している。回転速度やバイトを調整することで、加工形状の変更にも柔軟に対応する。
しかし実際には摩擦やバイトと材料の相性、切削条件によって加工精度にばらつきが生じる。加工中に得られる信号を解析することで最適な切削条件を見つけることが可能となる。
刃の送り速度、刃の当て方によって切削音、振動、切りくずの出方が変化する。切りくずが装置に絡むことでトラブルが発生するため切りくずはカール形状で径より小さい状態が求められる。
また材料が変形・破壊される際にひずみエネルギーとして放出される弾性波を検知するAEセンサを用いることで材料の状態を観測することができる。
振動では加速度センサにより高速加工時の工具または被削材が起こす振動を測定する。切削音の検出についてはマイクロフォンを用いる。
刃の送り速度、切削音、切りくずの形状とともにAEセンサ信号、振動を観測することで最適な切削条件を求めることができる。

2. 課題Challenges
課題として以下のような3つが挙げられる。
・複数測定器の同期
加工の状況を総合的に把握するには、モーター回転速度、切削音、振動、AE信号と刃の角度や切りくず状態などの相関を知ることが重要となるが、これら全てを一台でカバーすることは現実的とは言えない。それぞれの用途に適した複数の機器を同時に使うのが一般的だが、各機器の動作タイミングのずれなどにより、同一時間軸上で各信号の相関を正確に確認することは困難である。
・映像データと測定データの突合せ
加工の様子を高速度カメラで撮影することで切削の詳細な様子をスローモーションで確認できるが、カメラによる動画データと測定器側データとは通常同期がとられていない。このため動画上である瞬間を特定し、その時点に相当する測定値を知りたいが、相関が分からず確認ができない。
AEセンサ信号に含まれるノイズの除去
AEセンサからの出力は微弱信号であるため、アンプを通して増幅しフィルタ回路により不要信号成分を除去する必要がある。測定器にはフィルタ機能を搭載しているものも多いが、フィルタの設定が不適切な場合、十分なノイズ除去が行なかったり、本来測定したい弾性波の成分まで変化させてしまう。
さまざまなノイズが混入する測定環境下では、測定現場でフィルタ設定を正しく選択することは大変に困難である。
また、AEセンサからの出力信号には振動や音よりも高い数十kHzから数MHzの成分が含まれており、正確な測定にはそれぞれの信号特性に合わせた分解能と帯域を持った測定器が必要である。

3. IS8000による課題解決(Solution

センサ信号特性ごとの異なるサンプリングレート測定
波形と映像を同一時間軸上で同期測定
オフライン解析時のフィルタ設定と波形観測

 

IS8000による課題解決

4. IS8000による提案Detailed description
4.1 各センサ信号の特性に合わせて異なるサンプリングレートで測定
スコープコーダDL950は測定信号にあわせて異なる入力モジュールを混在させることができる。最大200MS/sのモジュールからスキャナ方式により多チャネルで熱電対を利用できるものまで豊富に用意している。信号の特性に合わせてそれぞれ異なるサンプルレートや分解能を使用しつつ、全チャネルを同一画面で観測が可能となる。
たとえば以下のような入力信号を同時に観測できる。
 CH1-3:加速度センサ(X/Y/X軸)
 CH4:集音計(マイク)による音データ
 CH5:AEセンサ出力
 CH6:モーター回転速度
 CH7:モーター電流

IS8000ではサンプルレートが異なるDL950の各チャネルデータを同一時間軸波形で表示することができる。各信号に適したサンプルレートを使うことで、データファイル全体のサイズが小さくなり、データの読み込みや転送などにおいて効果的である。

図1 異なるサンプルレートの波形データ表示例

1 異なるサンプルレートの波形データ表示

4.2 高速度カメラ映像とアナログ信号の同期測定
最適な切削条件を得るためには切りくずの形状、刃の角度といった視覚情報と切削音、モーター回転数などのセンサ信号の波形データが必要となる。IS8000の高速度カメラ同期オプションでは高速に回転するモーターや微細な刃の動きを観測するためにPhotron社の高速度カメラを使用することができる。またこの映像データはDL950の波形データと同期させることができる。各種センサ信号を測定するDL950はこの高速度カメラに対してフレーム同期用クロックを出力する。このフレーム同期クロックに従ってカメラのフレームレートが制御される。このフレーム同期用クロックはDL950のサンプリングレートを分周したものとなる。つまり、アナログ信号のサンプリングレートと動画フレームレートが同期する。1つの動画フレームに該当するサンプリングデータの数が一定となり、どの瞬間で切り出しても波形データと映像の時間的な関係が崩れていない。
*カメラ同期は、高速度カメラ同期オプション(/FS1)が必要

図2 高速度カメラ試験システムの構成図

2 高速度カメラ試験システムの構成図

4.3 オフライン解析時のフィルタ設定と波形観測
DL950は入力信号に対してフィルタ演算した結果を収集することができるが、周波数の異なる各センサ信号に対してノイズ成分を除去するフィルタ特性を測定前に設定することは困難である。
そこでIS8000の拡張演算オプションを搭載することで測定後に測定波形に対してフィルタを設定することが可能となる。波形を確認しつつ、最適なフィルタを設定することができるようになる。不要なノイズ成分を除去し、本来の信号成分のみを抽出するのに役立つ。

図3 モーターの回転画像と波形データの同期イメージ

3 モーターの回転画像と波形データの同期イメージ

*掲載されている画像等は実際の製品とは一部異なる場合があります。
*本アプリケーションの仕様は測定チャネル数や測定条件などにより制限されることがあります。
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