温度計測

(THE T&M LINK(Vol.11)2003年7月10日掲載)
IA事業本部 ネットワークソリューション事業部 第3技術部 岡野 芳洋

はじめに

温度計測は、様々な生産プロセスや気象、環境、実験室等で、もっとも多く行われている計測分野のひとつです。温度による熱起電力または電気抵抗の変化を利用して温度を電気的に測定します。
測定方法は、測定対象に検出部を接触させ、両者が熱的平衡に達した時の検出部の電気的特性によって温度を測定します。温度センサの種類も多種にわたりますが、熱電対センサと測温抵抗体センサが最も身近なものといえます。

温度計測の基礎知識

熱電対センサと基準接点補償(RJC)

熱電対は、最も頻繁に利用されているセンサで、その素材も、用途により多種に渡ります。熱電対は、2本の異種金属の一方の端を溶接し、他端の2端子から、熱起電力を測定するものです。熱電対の出力電圧は、両端の温度の影響を受けるので、熱電対を接続する測定器の端子部(基準接点)の温度を測定し、測定結果を基に演算補正することにより、測定対象の温度を特定できます。このような操作を基準接点補償(RJC:Reference Junction Compensation)と呼びます。RJCは、測定器自身が、測定端子部の温度を自動測定する内部基準接点補償(Internal RJC)と、測定器とセンサの間に温度定点を設置し、熱電対の測定端子部側の温度を固定する外部基準接点補償(External RJC)の
2種類があります。
下に、それぞれの模式図を示します。なお、0℃基準接点器としては、電子制御されたものが便利です。基準接点とする温度は、窒素その他のガスの定点を用いる場合もあります。

●内部基準接点補償(Internal RJC)
内部基準接点補償

●外部基準接点補償(External RJC)
外部基準接点補償

測温抵抗体センサによる測定

測温抵抗体は、抵抗値の温度変化特性を利用するもので、センサ素材としては白金が多く使われ、特にPt100は、世界中で標準的に使用されています。白金以外ではニッケルや銅、サーミスタが比較的使われています。
測温抵抗体の結線方式には、工業計測の分野でよく使われる3線式と、研究室などで精密測定に使われる4線式があります。3線式は、1本のリード線抵抗を代表的に測定して、真のセンサの抵抗を演算します。従って3本のリード線の長さおよび電気抵抗値が等しくなるように並べる必要があります。
また、4線式の測温抵抗体センサを3線式の機器に接続する場合は、1本を不使用リード線とすることになります。この場合も、3線の長さ(抵抗値)を等しくする必要があります。

●測温抵抗体の結線方式
測温抵抗体の結線方式

温度計測のちょとしたノウハウ

表面温度を測る

◎ 熱電対先端の熱は、熱電対電線の表面から放熱され、先端部の温度を下げてしまいます。

ポイント ・細い熱電対を選ぶ
・等温線に沿って取り付ける

◎ 熱電対の先端が浮き上がると熱抵抗が大きく増大してしまいます。

ポイント ・測定対象表面と熱電対先端部の熱結合に注意する
・熱電対の先端をしっかり測定対象に貼りつける
  1)熱伝導性接着剤が効果的 (LOCTITE社 Output384など)
  2)表面貼り付け専用センサも有効 (東亜電器(株)製、安立計器(株)製など)

●放熱を抑える方法
放熱を抑える方法

●熱抵抗の増大を抑える方法
熱抵抗の増大を抑える方法

スイッチング電源やインバータの部品温度を測る

◎熱電対を直接貼り付けると、高圧で高周波の電圧が熱電対に印加され、測定値に大きく影響するばかりでなく、危険な場合があります。

ポイント ・マイラーシートなどで、先端を絶縁することが有効

●マイラーシートによる絶縁測定
マイラーシートによる絶縁測定

測定器によくある機能を便利に使う

スケーリング機能
センサの校正データがわかっている場合、スケーリング機能によって、記録や表示結果を簡易補正できます。

スケーリング機能

差演算機能
外気温からの差演算機能を使って、外気との上昇分を直接表示、記録させます。

差演算機能

汎用の演算機能
測定器に内蔵の差演算や大小比較など汎用の演算機能を用いて外気に対する温度上昇の幅が連続的に設定値以下になったか動監視し、アラ-ム信号で管理者に伝えることもできます。

測定器を安全に使う

熱電対で温度を測定する場合、熱電対が、電源の高圧部に触れてしまったり、高温炉内での絶縁劣化による高圧ヒータ電源からのリークなど、機器破壊や感電事故の危険が存在する場合が意外に多くあります。短絡事故防止には、入力が絶縁されているタイプの測定器の選択が有効です。また、人体の保護の観点からは、保護接地端子の確実な配線や、不用意に熱電対に触れないように、使用する電線の絶縁にも配慮することが大切です。

●非絶縁機器による危険な例
非絶縁機器による危険な例

おわりに

一般的に温度測定では、そのセンサのさらされる環境が、大変厳しい現場であることが多いと言えます。1)高温度高湿度 2)高ノイズ、高電圧 3)腐食性ガス 4)爆発性ガスなどがその代表例です。実際のアプリケーションにあたっては、環境にあったセンサの選定と適切な変換器あるいは測定器の使用により、品質の高い安全な測定を目指したいものです。

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